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推薦入試の拡大で変わる予備校の役割
少子化とは関係ないところでも予備校をとりまく環境は厳しさを増す。年内入試の広がりだ。
予備校は長年、一般選抜(一般入試)合格のための教育機関であり、年内で入学者がおおかた決まってしまう学校推薦型選抜、総合型選抜には対応していない。
学校推薦型選抜は高校と大学のあいだの取り決めによって入学者が決まる。大学の募集要項に「推薦入試」とあれば、学校長の推薦が必要だ。それが総合型選抜では不要で、受験生個人が自ら得意分野をアピールする。多くの難関大学でも共通テストなどの学力試験はない。
ところが、学校推薦型選抜、総合型選抜の広がりを前にして、予備校がこれらの対策を始め、盛んに宣伝するようになった。早稲田塾、四谷学院、河合塾、代ゼミなどだ。
予備校は推薦・総合型選抜に対応できるのか
大学側としては学校推薦型選抜、総合型選抜において、学力試験では測れない個性や才能をもった人を受け入れたい。しかし、受験生にとっては受験競争であることに変わりはなく、十分な対策をして試験に臨みたい。対策を謳う予備校を頼るのは当然と言える。
となれば、自分の価値をアピールするための論文や面接での受け答えが、予備校の教えにしたがうことでどれも似たような内容——たとえば部活動、ボランティア、海外留学、大会やコンテスト、地域の活動などのアピール——になりかねない。これは、大学生が就職活動でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を訴える状況とよく似ている。
大学は学校推薦型選抜、総合型選抜でこのような受験生を採りたくない。予備校を頼るにしても、面接での話し方、論文の書き方といった技術面にとどめておいてほしいだろう。受験生の個性を、マニュアルに従って演出してほしいとは決して考えないはずだ。
なるほど、予備校は、学校推薦型選抜、総合型選抜と相性がよくはない。予備校がこの分野に注力するにしても、事業の将来性としては限界がありそうだ。
この書籍の執筆者:小林哲夫 プロフィール
教育ジャーナリスト。1960年神奈川県生まれ。94年の創刊から『大学ランキング』編集担当。著書に『予備校盛衰史』、『「旧制第一中学」の面目』(ともにNHK出版新書)、『関関同立』(ちくま新書)、『改訂版 東大合格高校盛衰史』『京大合格高校盛衰史』(ともに光文社新書)、『中学・高校・大学 最新学校マップ』(河出書房新社)、『高校紛争 1969─1970』(中公新書)など。



