情報ゼロの国へ小6息子と2人で──教育移住先に「ジョージア現地校」を選んだ母の6年

小学6年生でジョージアへ移住した息子は、現地校でジョージア語と英語を学びながら、自分の意見を伝える力を育てていきました。親子が振り返るジョージアの首都・トビリシへの教育移住、そのリアルを紹介します。(画像出典:写真AC)

親日とディベートの国で──「意見を言わないと置いていかれる」教育が息子を変えた

——移住したての頃、お子さんの様子はいかがでしたか?

意外と早く適応していました。背景にあったのは、ジョージアがとても親日的な国だということです。息子がクラスに入ると言ったら、もう「ウェルカム、ウェルカム」で。

休み時間に「ハグしていい?」という女の子が出てきたり、ラブレターをもらったり。最初だけですが、モテモテな時期があって(笑)。日本人だからと優遇される雰囲気のなかで始まったので、それは息子にとってプラスでした。

——親日国だというのは、移住前からご存じだったのですか?

いえ、全く情報がなかったので、行ってみたら結果的にそうだった、という感じです。おかげで息子のなかには、かえって日本人としての自尊心や自覚がすごく芽生えたと感じます。

——言葉の壁は、どう乗り越えていったのでしょうか?

私自身は今も大きな壁がありますが(笑)、息子は本人いわく1年くらいで乗り越えられたそうです。読み、書き、暗記で頑張って、家でも家庭教師の先生をつけてジョージア語を習いました。

一方で、数学は日本の方が進んでいたので、これは大きな助けになりました。言葉は分からなくても問題は解ける。

数字は世界共通なので、授業についていけないどころか、むしろ数学は息子の強みになったんです。そうして少しずつ自信をつけながら、言語の壁を越えていきました。今では、学校生活のほとんどをジョージア語で過ごせるまでになっています。

シュタイナー教育の現地校・Tbilisi Free Waldorf Schoolの教室
シュタイナー教育の現地校・Tbilisi Free Waldorf Schoolの教室

——6年ほど暮らしてみて、ジョージアはどんな文化の国だと感じますか?

1つは、やはり親日的で日本人が喜ばれること。そこには歴史的な背景もあると思います。ジョージアはかつてソ連の一部で、ソ連解体後に独立を勝ち取った歴史があります。日本も一度は敗戦を経験しながら経済大国へと立ち直った——そんな日本の歩みに、強いリスペクトを感じていると友人は話します。

もう1つは、怒ったり喜んだりといった感情表現が豊かなことです。一方で、奥ゆかしさやシャイなところもあって、前に前に出てくる子は意外と少ない。どこか日本人と共通するキャラクターも、現地の方の雰囲気から感じます。

——教育や子育ての文化として、日本との違いを感じるのはどんなところですか?

まず、子どもをとても大切にします。送り迎えは必ずお父さんかお母さん、おじいちゃんおばあちゃんの誰かが付き添って、校門の前でハグをして送り出す。子どもを大事にする文化が、本当に根付いているなと感じます。

教育面では、とにかく話し合いとプレゼンテーションが多い。何でも話し合うので、息子も人前で話すことがとても上手になりました。意見を言わないと、そのまま放っておかれて授業が終わってしまう国なので、自分の意見をしっかり言うのがデフォルトなんです。

息子の学校では、クラスで何か問題が起きたら、先生を含めクラス全体で考えるので、授業が飛んでしまうことも時折あるようです。

——そうした環境のなかで、息子さんはどんなふうに変わりましたか?

自分の意見をはっきり言うようになりました。中学2年の段階で「高校から日本に帰るなら今が考え時だよ」と話したとき、本人は「こっちでいい、ジョージアで頑張る」と即答したんです。それくらい意思がはっきりしてきました。

息子は日本にいた頃から学級委員長タイプで、正論を言い過ぎて少し煙たがられるくらい真面目な性格でした。「先生の言うことが絶対」という面もあって、このまま日本の中学校に行ったら、どちらかというと空気を読めずにはみ出してしまうんじゃないか、という心配が親としてはあったんです。

でもジョージアに移住して文化が変わったことで、それがなくなりました。むしろ意見は言わないとダメだし、人と違う意見でも毛嫌いされない。

「あなたの意見はそうなんだね、僕はこうだよ」という文化なので、彼が素直に自分の意見を言える。これは親として本当によかったと思う点ですね。

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「英語が目的なら、他にも整った国があるけど……」そう語る母が教えてくれた、ジョージア教育移住の真価
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