情報ゼロの国へ小6息子と2人で──教育移住先に「ジョージア現地校」を選んだ母の6年

小学6年生でジョージアへ移住した息子は、現地校でジョージア語と英語を学びながら、自分の意見を伝える力を育てていきました。親子が振り返るジョージアの首都・トビリシへの教育移住、そのリアルを紹介します。(画像出典:写真AC)

頼ったのは一軒の語学学校──住まいと現地校を見つけるまで

——ジョージアで住む場所は、どのように決めたのでしょうか?

主人が1年後にジョージアでレストランを開く予定で、その仕事を考えると首都であるトビリシ一択でした。それに、ジョージアのことを何も知らない状態で行ったので、首都以外はそもそも選択肢になかったのが正直なところです。

首都というと日本人が集まり過ぎている印象もありますが、ジョージアはもともと日本人移住者が少ない国です。トビリシでも現地コミュニティーに溶け込む環境は十分に保てると考えて、首都を選びました。

——ジョージアという国やトビリシの街の印象は、行く前と後で変わりましたか?

移住前にインターネットで調べると、馬や牛や羊がいる大自然のなか……というブログばかりで、ものすごい田舎だと思っていたんです。アルプスの少女ハイジのようなイメージです(笑)。

でも実際に行ってみると、大きなモールが3つもあって、地下鉄もバスも通っている。思ったより都会でびっくりしました。それでいて野菜など生活に必要なものは安かったので、移住を始めての第一印象は「これはいいね」という感じでしたね。

トビリシ市内の様子
トビリシ市内の様子

——お住まいは、どのように見つけたのでしょうか?

日本にいるあいだに、語学学校をインターネットで探しました。語学学校に行けばジョージア人と知り合えると思ったので、まず私と息子の二人で2週間ほどジョージア語と英語を学ぼうと申し込んだんです。

そうしたら、その語学学校を経営されているご夫婦がとても親切にしてくださって。たまたまその方たちが持っていたアパートを、リフォームして格安で貸すよと提案してくださったんです。

とにかくジョージア人と知り合わなければと思っていたので、まず語学学校から生活を広げていく作戦が運よくはまりました。

——学校選びは、どのように進めたのでしょうか?

学校のことも、語学学校の先生たちが「こんな学校があるよ」と教えてくださって、本当に助かりました。最終的に選んだのは、シュタイナー教育を行う現地の私立校です。いろいろ見学に行きましたが、決め手は受け入れの姿勢でした。

6年生にもなると、ジョージア語も英語もできない子を受け入れてくれる学校は少ないんです。インターナショナルスクールだと「英語ができないのにどう授業を受けるの?」となってしまう。

そんななか、この学校は日本人にとても好意的でした。たまたま数カ月前に、年の近い日本人の女の子が入学していて、そのお母さんから「先生が日本人の子にこんなふうに接してくれる」という実際の学校の様子を聞けたんです。

日本人を受け入れた実績がある学校だと分かり、全くゼロから飛び込むより安心して検討できたのは大きかったですね。

シュタイナー教育の現地校・Tbilisi Free Waldorf Schoolの校舎
シュタイナー教育の現地校・Tbilisi Free Waldorf Schoolの校舎

——入学にあたっての手続きは、大変ではありませんでしたか?

インターナショナルスクールではないので、手続き自体に特別な苦労はありませんでした。まず1、2カ月の体験入学のような期間を設けてくださって、「これは難しそうだ」となればそのとき入学の可否を考えましょう、という柔軟な形でした。

ただ、入学願書が少し変わっていて。子どものキャラクターや、親がどう育ててきたかを書くような内容で、しかもジョージア語で書いてほしいと言われたんです。これだけは大変だったので、語学学校のジョージア人の先生に手伝ってもらいました。

——シュタイナー教育を選ばれたのは、どんな点が合うと感じたからでしょうか?

シュタイナー教育は世界中で実践されていて、日本にも学校があります。スマホやタブレットなどのデジタル機器を幼いうちは遠ざけて、ある程度の年齢までは自然のなかでのびのびと、早寝早起きで育てるという、知識の詰め込みより想像力・感性・意志力を重視する考え方が、私自身がそれまで家庭で大事にしてきた子育ての方針と近かったので、抵抗なく受け入れられました。

それに、何よりも息子はジョージア語も英語もできない状態で、授業はジョージア語、友達とは英語、という環境に入ることになります。その状況でいきなり成績を求められたら、息子はつぶれてしまうと思いました。

だから最初の段階では、学力を伸ばすことよりも、まず暮らしに慣れ、現地の友達となじみ、この国の文化や価値観を肌で吸収すること——いわば「ジョージアで生きていく力」を身につけることを優先したかったんです。

その点、シュタイナー教育の学校は学業を詰め込むより、のびのびと過ごすことを大切にする校風でした。私が望んでいた順番と合っていると感じたんです。

次ページ
「正論を言い過ぎて煙たがられていた」息子が、ジョージアで得たポジティブな変化
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    ホラー映画『オブセッション 災愛』はなぜ歴史的大ヒット? “レベルMAXのヤンデレ化”だけじゃない怖さとは

  • どうする学校?どうなの保護者?

    20年間「駆け込み実績ゼロ」の学校も…「こども110番の家」は本当に必要? PTAが直面する理想と現実

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    南海電鉄の新・観光列車「GRAN 天空」は“高野線の救世主”となれるか。100年ぶりサービス復活の勝算

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策