終始“自分たちの”日本語で進行し、メッセージを発し続けた6人
ゆりこ:ここでライブの話に戻りますが、もう1つ驚いたのが一度も通訳さんが出てこなかったことです。終始日本語でMCをしていました。それも単にプロンプト(カンペ)を見て読んでいるのではなく、きちんと文法や単語を理解したうえで話しているのが分かるんです。そのうえでボケたり、つっこんだりして会場中の爆笑を誘ったりしているんですよ。すごくないですか?
矢野:前回、2PMが日本活動を頑張っていたという話が出ましたよね。その時の努力が実っているということなのではないでしょうか?
ゆりこ:10年もたてば多少は日本語を忘れているのでは? MC短めかな? など思っていたのですが……また見くびり過ぎていました(2回目)! 昔と変わらない、わちゃわちゃトークを最後まで日本語でやってのけた。ブランクを感じさせない努力と能力はアッパレでした。
矢野:チャンソンさんは日本のテレビ番組にもたびたび出ているので、流ちょうなイメージがありましたが、全員ペラペラなんですね。
東南アジア出身アイドルの元祖、ニックンの努力とファンへの思い
ゆりこ:それでいうと、唯一のタイ人メンバーのニックンさんは、他のメンバーに比べると日本語が得意ではありません。そのことについて、ご本人がライブの最後に話してくれたのですが、心に残る内容でした。「本当は僕だって、ファンの皆さんに伝えたいこと、いっぱいあります。でも、それを伝えきれない」「僕は外国(タイ)から韓国に来てデビューして、やっと韓国語覚えたと思ったら次は日本に来ることになって。今日だってプロンプトは韓国語でしか出ていないです」って。
矢野:ニックンさんのこれまでの苦労と本音が見える、真摯(しんし)なコメントですね。そのもどかしさからも、愛を感じます。
ゆりこ:私も思わずグッときてしまって。伝わった、伝わったよ! と言いたかったです。会場中のファンも同じ気持ちだったのだと思います。拍手喝采でした。
矢野:今ではタイ出身のK-POPアーティスト、何人もいらっしゃいますよね。ニックンさんはそのパイオニアなのでしょうか。
ゆりこ:K-POP界初のタイ人アイドルです。2008年のデビュー当時、外国人メンバーが珍しかった韓国の芸能界で、単なる“お飾り”ではなく、真の“大人気メンバー”になったのも強かった。当時、彼はいろんな広告やCMに引っ張りだこだったんです。ニックンさんが成功例を作って、道を切り開かなければ、東南アジア出身メンバーが増えなかった可能性さえあります。
矢野:今ではBLACKPINKのリサさん、WayVのテンさん、そして僕の好きなGOT7にもベムベムさんがいますもんね。
ゆりこ:i-dleのミンニさん、KISS OF LIFEのナッティさん、BABYMONSTERのチキータさんもタイ出身。あとインドネシア出身のHearts2Heartsのカルメンさんなど、今後タイ以外の東南アジア出身アーティストも増えるでしょう。その道の開拓者はニックンさん、これを否定する人はいないと思います。
ベテラン勢が続々と復活する2026年、2PMのカムバックはあるのか?
矢野:そして最後に、韓国公演のお知らせが発表されたのですよね? SNSの投稿で知りました。
ゆりこ:はい、8月に仁川でのライブが決定しました。さらに東京ドームライブの最後の曲は『I'll be back -Japanese ver.-』だったんです。再び日本でライブがあることを期待したいですし、この勢いで新曲を発表してほしいのですよ。今年は1月にEXO、2月にBLACKPINK、3月にはBTSがカムバックしました。4月にはBIGBANGがワールドツアーを発表して、6月にはSHINeeのリリースがあります。そう来たら、次は2PMがカムバックする番でしょう!
矢野:K-POPの第2世代、第3世代の大物アーティストが勢ぞろいですね。MAMAMOOも完全体でのツアーが決定しています。
ゆりこ:K-POPグループがどんどん長寿化してきたことは、K-POPシーンにとってプラスだと考えます。市場が豊かになって、アーティストの層が厚くなってきた証拠ですよね。新人グループや若手にとっては脅威でもありますが、既存グループと差別化すべく個性を立たせていくしかない。“魔の7年”と呼ばれていたかつてのように「K-POPグループは10代で始まり20代で終わり」となると、シュリンクしていく未来しかないです。
矢野:ベテラングループと若手グループが切磋琢磨(せっさたくま)して、時には共演したりしながら、K-POP全体を盛り上げていってほしいですね。2026年の下半期も楽しみです。2PMの新曲、出ますように!
【ゆるっとトークをお届けしたのは……】
K-POPゆりこ:音楽・エンタメライター。雑誌編集者を経た後、渡韓し1年半のソウル生活を送る。帰国後は、K-POPや韓国カルチャーについて書いたりしゃべったりする「韓国エンタメウオッチャー」として、雑誌やWebメディアなどでの執筆活動や、韓国エンタメ情報ラジオ番組『ぴあ presents K-Monday Spotlight』(TOKYO FM)でパーソナリティーを務めるなど幅広く活躍中。
編集担当・矢野:All Aboutでエンタメやビジネス記事を担当するZ世代の若手編集者。物心ついた頃からK-POPリスナーなONCE(TWICEファン)&MOA(TOMORROW X TOGETHERファン)。



