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「偏差値50台の男子校」が県内にない?
もう1つ、神奈川特有の事情として「共学志向」と「学校選びの難しさ」があります。2026年度入試では、鎌倉女子大学中等部が共学化して「鎌倉国際文理中学校」となり、志願者を406人も増やしました。歴史ある進学校、桐蔭も志願者を増やしています。
「東京以外は共学志向が強くなっている」という話も取材先で聞きますが、渋田先生によると、神奈川はもともと、「男子校が少ない」との指摘をされました。
神奈川の男子校は以下の6校しかありません。
・聖光学院(偏差値70)
・栄光学園(偏差値66)
・慶應普通部(偏差値65)
・浅野(偏差値64)
・サレジオ学院(偏差値61)
・逗子開成(偏差値58)
※偏差値は四谷大塚による
見ての通り、多くが難関校です。これら以外に中堅校として鎌倉学園(偏差値52)がありますが、神奈川の男子校は上位層が多くを占めるのが特徴です。
偏差値50〜55前後の「受験しやすい男子校」が県内にほとんど存在しないため、この層の受験生は必然的に都内の学校(世田谷学園、高輪、獨協、成城など)へ流れてしまいます。
鉄道網の発達が「神奈川の私立」を苦しめる
さらに追い打ちをかけるのが、近年の「交通インフラの劇的な進化」です。2019年の相鉄・JR直通線開始に続き、2023年には相鉄・東急の直通運転もスタート。横浜駅で乗り換えることなく、渋谷・池袋・目黒・大手町といった都心エリアへ1本でアクセスできるようになりました。
これにより、最近は女子が都内の学校に進学するケースも増えています。
「神奈川東部・南部から東京主要エリアへの所要時間が大幅短縮しました。これにより、都内の学校に進学する生徒も増えています」と渋田先生も言います。
つまり、神奈川県全体の中学受験者数が減り、さらに交通の便がよくなったことで優秀な層が都内へ流出している——。神奈川県内の私立校にとっては、かつてないほど厳しい生徒募集の時代を迎えています。
しかし、視点を変えれば、「教育内容や実績がよい学校に入りやすくなっている」とも言えます。
次回は、この状況を逆手に取った「今こそ神奈川の学校が狙い目である理由」について深掘りしていきます。
※受験生数などは首都圏模試センター(ONETES)、偏差値は四谷大塚の調査(いずれも2026年3月時点)に基づきます。 渋田隆之さん プロフィール
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー。神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。著書に『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)など。
この記事の執筆者:
杉浦 由美子
ノンフィクションライター
キャリア20年の記者。『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。
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