最難関校「課金合格」の代償。鉄緑会へ中1から通わせて溺れる、“自走できないエリート”家庭の悲惨

親の経済力でつかんだ最難関校合格。しかし、入学後に待っていたのは、さらなる重課金だった? 「実力以上」に押し上げられた“自走できないエリート”たちの、降りられない沼の実態とは。(画像出典:PIXTA)

「やっと終わった」は幻想。入学と同時に始まる、さらなる重課金
「やっと終わった」は幻想。入学と同時に始まる、さらなる重課金……そのわけは?(画像出典:PIXTA)
中学受験の景色は一変しました。塾の指導メソッドが完成された今、「自ら律して勉強できる子」や「勉強好きな子」でなくても、難関校に合格できるようになったのです。

塾に言われた通りに宿題をこなし、回らなくなれば個別指導や家庭教師を足す。必要なのは本人の自律心ではなく、「親がどこまでフォローに資金を投入できるか」ということです。

中学受験が過酷な“課金ゲーム”と化している背景には、こうした「親の財力で能力を補完する仕組み」が確立している実態があります。

自走できない「課金エリート」の苦悩

この課金ゲーム化の波は、入学後も止まりません。東大対策で知られる塾「鉄緑会」への通塾率を見ると、開成や最難関女子校では10年前から倍増しています。

鉄緑会は指定校制をとっており、対象校の生徒は入学時なら無試験で入塾できる特権があります。しかし、一度タイミングを逃すと入塾テストの壁は厚く、ある最難関校の生徒が中学1年の夏に受験して不合格だったという話もあるほど。

そのため、多くの親が「とりあえず中学1年から」と、休む間もなく次の“課金”へと走ります。

「かつて最難関校に合格する子は、学習習慣が身についていて自分1人で勉強ができる子たちでした。高校2年ぐらいから予備校の東大対策コースに通うので十分だったんです。

ところが今は、親の経済力やマンパワーで入学する子も多いため、中学入学と同時に塾に通わせないと勉強をしなくなってしまう。親もそれを分かっているから、入学と同時に新たな塾に入れるのです」(大手塾講師)

鉄緑会の宿題をこなすための「さらなる課金」

前回紹介した、塾に合計600万円を課金して娘を合格させたAさん。彼女が直面した「合格後のさらなる重課金」の実態を見ていきましょう。

Aさんも、娘の中学入学と同時に鉄緑会へ入れました。数学と英語を受講させましたが、「進度が速く宿題も多い。学校の宿題もあるし、かなりキツい状況でした」と振り返ります。

中学2年になると、カリキュラムは高校の内容に入りました。明らかについていけなくなり辞めさせようと考えましたが、本人は「辞めたくない」と拒みます。

「友達が通っているのに自分だけ他の塾に行ったら、落ちこぼれたような感じになると思っているのでしょう」。その時、Aさんは「何も考えずに鉄緑会に入れたのは間違いだったかもなあ」と後悔したそうです。

中学3年になると、鉄緑会では高校3年の内容を学習します。宿題が終わらない状態で、塾に行くという悪循環に陥りました。

そこでAさんが、鉄緑会の宿題をフォローしてくれる業者を探そうとネット検索すると、家庭教師派遣企業のサイトが出てきました。

そこには中学生向け「鉄緑会コース」の指導料として、スタンダード講師6600円、プレミアム講師7150円とありました。いずれも1時間あたりの指導料です。家庭教師なので1回2時間、スタンダード講師で週1回でも月5万2800円。塾の費用とは別にこれだけかかります。

「中学受験の時は公立小ですから学費はほぼ無料でしたが、中学からは私立なので学費がかかります。しかも最難関女子校は今、雙葉に迫るほど学費が高いですからね」
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中学受験より高い!? 最難関校入学後にAさんが支払う「実際の教育費」
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