悠仁さまを次代の天皇に育てるという「国家的責務」の重さ——秋篠宮殿下の父としての責任と苦悩

皇位継承順位は単なる序列ではありません。皇族男子は順位に関係なく、いざというときには天皇になる覚悟を求められる存在だといいます。宮家が存在する理由とともに、皇位継承という制度の重みを解説します。(画像:REX/アフロ)

順位に関係なく求められる「天皇になる覚悟」

かつて寬仁親王殿下から、非常に印象深いお話をうかがったことがあります。

殿下ご自身、当時の皇位継承順位は第六位ないし第七位でいらっしゃいました。常識的に考えれば、皇位が回ってくる可能性はきわめて低い。しかし殿下は、「順位が付されている」という一点だけで、計り知れない重責を感じていらっしゃったのです。

私たち国民には、皇位継承順位などというものは当然ありません。しかし、皇族男子にとってそれは現実であり、たとえ生涯その順番が回ってこないと予想されても、万が一のときには、即座にそれに応じなければならない。それができなければ、皇族は存在する意味がないのです。

とりわけ三笠宮家のような傍系の宮家は、有事の際に天皇を輩出するという宿命を負っています。であるからこそ、継承順位が付されている以上は、今日、明日、いつそのときが来てもよいように、日々自らを律し、研鑽を積む責任がある。殿下はそのようにおっしゃっていました。

ですから、皇族男子は順位にかかわらず、すべての方が「天皇になる覚悟」を備えていらっしゃるのです。小さいころから天皇の気質を備えるよう期待されて育つ。これは尋常ならざる重圧でしょう。

継承者としての「立場」が人をつくる

今上陛下にとっては、上皇陛下のお振る舞い、さらには歴代天皇の生き様に倣っていくことが、最大の規範になります。これは形式的な教育を超えた、いわば「継承される精神」といってよいでしょう。

世間には、「お兄さまは将来の天皇」「弟宮は違う」といった印象論があります。しかし、弟宮であればこそ許された自由さ、そして深められた専門性というものがあるはずです。

皇太子は公的行事にまんべんなく関与する必要がありますが、弟宮はご自身の関心に即した学問や活動を深めることができます。その意味で、優劣の議論はまったく無意味です。

秋篠宮殿下も、若いころは比較的自由なお立場で研究や活動をなさっていましたが、近年はまったく様相が異なります。

皇嗣(皇位継承の第一順位者)という立場を担った今、かつてのような自由なご発言は控えておいでで、むしろ天皇陛下が皇太子時代に担っていたご公務を一部継承なさるなど、皇嗣としての責任を実直に果たしていらっしゃいます。

立場が人をつくる。まさにその通りの変化だと思います。

そして今、秋篠宮殿下の胸中には、ご自身の年齢と次なる皇位継承の時期、さらには皇統の連続性に関する強いご自覚があるのではないかと推察いたします。

上皇陛下が高齢を理由に譲位なさったように、自らがその年齢に差しかかったとき、果たして国家の象徴としての責任を果たしうるのか。そうした思索は当然なさっておいででしょう。

さらに、悠仁親王殿下という「次の天皇」を確実にお育てにならねばならない。これは単に父親としての役割ではなく、国家的責務を負う立場からの苦悩でもあります。次代を託す相手がわが子である。これほど重い使命が、ほかにあるでしょうか。

竹田恒泰の特別講義 天皇と皇族 (学び直しの時間)
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この書籍の執筆者:竹田 恒泰 プロフィール
作家、実業家、皇學館大學非常勤講師。1975年、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫にあたる。慶應義塾大学法学部法律学科卒。専門は憲法学・史学。『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞受賞。2021年に第21回正論新風賞受賞。『天皇の国史』(PHP研究所)、『現代語古事記』『古事記完全講義』『竹田恒泰の特別講義 天皇と皇族』(以上Gakken)など著書多数。近年は、歴史教科書の執筆・出版、古墳型墓所の設計・販売なども行っている。

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