7:ボイスキャストの好演と「文芸的」な2つの要素
本作のボイスキャストは、フジコ役に當真あみ、千鶴役で嵐莉菜という、本業が声優ではないキャスティングがされていますが、それぞれが「応援する立場」「戸惑いつつも頑張る」役柄にとてもマッチしていました。 青年ルスラン役の早乙女太一や、バレエを教えるオルガ役の門脇麦の声には、「悩みを持ちながらも導く役」としての大きな説得力がありました。
その文芸的とは、「善人や悪人がいるのではなく、ひとりの個人としてそこに存在しているということをちゃんと表現すること」と、「なにもかもを台詞で説明するのではなく、観客がキャラクターたちの心情を想像する余地のある演出をすること」だったとか。
8:幸せな気分で映画館を後にできる作品に
谷口監督は「幸せな気分で映画館を後にしてほしい」とも願っています。
その上で、「映画館でしか体験出来ない映像と音楽を意識しているところでもあるので、フジコや千鶴といっしょに100年前のパリを共有し、ともに時間を過ごしたことを楽しんでもらえればうれしい」とも、谷口監督は願っているのです。 まさにその言葉通りであるので、細かいアニメの演出はもとより、エンタメとして楽しむというのが本作の本懐でしょう。この春は話題作が目白押しですが、その中でも万人向けの作品として、ぜひ候補に入れてみてほしいです。
この記事の執筆者:
ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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