「勝ち組・負け組はただの幻想だ」同窓会で心が揺れる人に和田秀樹が伝えたいこと

同窓会を前に「自分は負け組かもしれない」と迷う――そんな比較の思考はどこから来るのか。精神科医・和田秀樹氏が、他人との比較が不幸を生む理由と、自分で自分の幸せを決めるための考え方を解説します。(画像出典:PIXTA)

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都会の“勝ち組”より幸せ? 地方暮らしの充実したリアル

40代男性の未婚率は、2020年国勢調査人口等基本集計によれば、40代前半で29.1パーセント、40代後半で27.2パーセントです。4人に1人は未婚ですから40代で独身など別に珍しくはありません。

また、Fさんの勤めている会社は、和気あいあいとした家族的な雰囲気のある会社です。

ノルマがあるわけではなく、営業成績を社員同士で争うこともなく、皆で協力して業績を伸ばしています。Fさんはそんな部署のリーダーとして、部下からも慕われています。

それに、大都市ほど物価は高くなく、数年前に相次いで亡くなった両親の家に住んでいるため家賃も要らず、生活に困ることはありません。休みに旅行をしたり、月々預金したりする余裕もあります。

自分の趣味に結構な額のお金をかけても、誰にも文句はいわれません。隣近所は子どもの頃から交流のある人たちばかりで、地域のお祭りなどにも、幼馴染と積極的に参加して楽しんでいます。

家から15分ほど歩いたところにある小さな池には冬になると渡り鳥も飛来してきます。そんな風景に心和ませながらの散歩は、Fさんの休日の楽しみの一つです。

このようなFさんの生活は、Fさんが「勝ち組」と思っている人たちから見ると、うらやましく思えるかもしれません。

大企業に勤めていれば、苛烈な出世競争に巻き込まれることもありますし、社内で心を許せる人がいないことも珍しくありません。

首都圏では、すし詰めの電車通勤にも、耐えなければなりません。都会に住んでいると、隣に住んでいる人の顔さえ知らないのは普通のことで、ご近所との交流などありません。

首都圏は、住宅費にしても、子どもの教育費にしても高額になりがちで、決して生活が楽なわけではありません。

Fさんの暮らしと「勝ち組」の暮らし、どちらを取りますかと問われても、答えられないのではないでしょうか。

「自分で自分の幸せを決められない」ことの危うさ

ここで先のFさんへの問いに戻りますが、Fさんは少なくとも自分が不幸だと考えてはいないし、今の生活に大きな不満を抱いているわけでもなさそうです。

ただ、久しぶりに会う同級生のことを考えて、自分を「負け組」だと思ってしまったのです。

そうならば、厳しい言い方になりますが「自分で自分が幸せかどうかを決められない」という主体性のなさや「誰かより上にいることで安心したい」という判断を見直すべきです。
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この書籍の執筆者:和田秀樹 プロフィール
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。
東京大学医学部卒附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院を経て、現在は精神科医。 国際医療福祉大学教授、ヒデキ・ワダ・インスティテュート代表。一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。
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