【実話】愛猫を亡くし、笑顔の消えた家。「いてくれたら…」涙をこぼした長男の心が、再び動き出すまで

大切な愛猫を病気で失い、家族から笑顔が消えてしまった一家。深い悲しみの中で迎えたのは、元気いっぱいの兄弟猫でした。猫と生きることが、もう一度心に灯をともすまでの物語を、書籍『猫は奇跡』より一部抜粋して紹介します。

動物病院で出会った元気な兄弟が、家族に再び笑顔を灯す

ちょうど動物病院に保護されてきたばかりの子猫がいて、詩の面影のある子がいるというので、会いに行くことにした。

長男は「詩に似た子は嫌だ」と言うが、写真で見るその子は詩に毛色や顔立ちは似ていても、男の子らしいやんちゃさがあり、似ていないとも言える。

夫婦で動物病院へ会いに行く。すると、面接のために、奥から2匹の子猫が元気いっぱいに飛び出してきた。詩に似たキジトラと、その兄弟のキジ白と。

2匹は仲良くはしゃぎ回る。「こんなに仲のいい兄弟の1匹だけを連れていけない」と思う友香さんの隣で、夫のハートは2匹にすっかり射抜かれていた。

息子たちには「子猫がやってくる」とだけ伝える。

2匹を連れ帰ってきた日。学校から帰ってキャットタワーを組み立て、待ち構えていた次男が声をあげる。「えっ? えっ? 2匹! 2匹! 2匹!」と雄叫び、大興奮である。

続いて帰宅した長男も叫ぶ。「おおっ!」

息子たちの心底楽しそうな笑顔は、詩がいたときのそれだった。兄弟子猫たちは、部屋中を走り回り、揃ってご飯を食べ、また走り回る。遊び疲れて、重なり合って眠る。生き生きとした空気が家の中に満ちた。

悲しみも愛も、巡っていく

「悲しみの淵から抜け出すのに時間はかかりましたが、悲しむのならうんと悲しもうと思っていました。いつかまたやってくるかもしれない猫と暮らす日のために」と、友香さんは言う。

猫の温かさも柔らかさも愛おしさも知ったら、その心に蓋をすることはないと、思っている。きっと、その人、その家族のペースで満ちてくるものがあるはずだから。

迎えた子猫たちの名前は、息子たちもその一字を持っている「朗」の字をつけ、キジトラは「雅朗(まさあき)」、キジ白は「福朗(としあき)」とした。愛称は、まさくんととしくんである。「新しい子がやってきたのを、詩はきっと喜んでくれてる。やさしい子だったから」と、次男くん。

2022年の夏に2匹を迎えてから2年が過ぎた。

まさくんはふっくらタイプ、としくんはがっちりタイプに成長した。大学生と高校生になった息子たちは、2匹をそれは可愛がっている。猫のことを話題にするだけで、家の中に笑顔が満ちる。

「詩はわが家に来てくれた初めての可愛い女の子で、お月さまのような存在でした。その詩が呼び寄せてくれたまさくんとしくんは、私たちの心を温めてくれた太陽のような存在です」と、友香さんは微笑む。

「詩からもらった愛は、胸の奥に大切にしまってあります。その愛をまさくんとしくんに伝えて、詩とはまた違う愛をふたりからもらって……そんなふうに愛が丸く巡るしあわせを感じながら、私たち家族はこれから3匹と共に生きていくんだと思います。出会えたことこそが奇跡と感謝しながら」

猫は奇跡
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この書籍の著者:佐竹茉莉子 プロフィール
フリーランスのライター。幼児期から猫はいつもそばに。2007年より、町々で出会った猫を、寄り添う人々や町の情景と共に自己流で撮り始める。フェリシモ「猫部」のWEBサイト創設時からのブログ『道ばた猫日記』は連載15年目。朝日新聞系ペット情報サイトsippo の連載『猫のいる風景』はYahooニュースなどでも度々取り上げられ、反響を呼ぶ。季刊の猫専門誌『猫びより』(辰巳出版)や女性誌での取材記事は、温かい目線に定評がある。

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【写真まとめ】愛猫を亡くし笑顔が消えた一家に灯をともした兄弟猫「まさくん」「としくん」
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