小学6年の夏から心身ともに急成長。基礎力を鍛え、最後までやり抜く姿勢も後押しに
——学習計画もお母さまと家庭教師の先生で決めていかれたのですか?
基本的には、家庭教師の先生に主体となっていただいて決めていきました。受験に受かる・受からないよりも、基礎力をしっかり身に付けること、そして勉強を習慣づけること。学習計画では、この2つに重きを置いて考えていただきました。
基礎力がしっかりしていれば、中学に行ってからも本人は楽になるだろうし、その後の伸びも期待できますよね。
例えば、「ここの学校に行きたい」とか「将来こういうことをやりたい」とか、そうなったときに選択できるように、選べる“土台”だけはつくっておこうと。いざ「やりたいこと」が見つかっても、まず基礎からやり直しでは、時間が足りなくなってしまいます。
仮に受験に失敗したとしても、基礎力がついていれば、それはそれで大きな意味がある。「ただでは転ばないぞ」という気持ちは、ずっと持っていました。
——受験勉強の開始時と合格校の偏差値を比較すると、学力は着実に伸びている印象です。どのような学習が功を奏したと思いますか?
学力を伸ばすという意味では、SAPIXに行って良かったと思っています。SAPIXは成績が下のクラスでも、それなりの進学校に行くような進学塾です。
通塾する生徒さんの学力レベルが高いので、テストの順位や偏差値は、親として心が折れそうな数値が出るのですが、「一番下のクラスでも、とにかく必死についていけば、どこかには受かる」という評判を信じて、バナナボートから振り落とされそうになるようなイメージのなか、必死にしがみついて最後までやりきったという感じです。
——見守るお母さまとしても、精神的な負担が大きかったのでは?
危機感は常に持っている状態でしたね。勉強しても勉強しても、目に見える数値に現れないことに追い詰められて、塾をやめていく生徒さんもたくさん見てきました。
私もつい没頭して頭を抱えることもありましたが、ふと我に返ると「まあ、ここで失敗しても大きな問題じゃない」という感覚を持てていたので、思い詰めることはありませんでした。仕事をしていたことも、気分転換になっていたのではないかと思います。
あと、毎日「こんなかわいい時期があったんだー!」と息子の赤ちゃんの頃の写真を見ることでフラストレーションを発散していました(笑)。
——息子さんの受験勉強のスタンスに変化は見られましたか?
小学6年生の終わり頃にようやく、「楽しくないからやらない」じゃなくて、「これは理由なくやるべきものなんだ」と腹に落ちたようです。「とにかく修行のようで嫌だけど、やる」と覚悟を決めたというか。
受験勉強は小学4年生から始めていましたが、今にして思えば精神的にまだまだ幼かったなと思います。息子はずっと背も小さくて背の順だと前から3番目以内だったのですが、小学6年生の夏から冬にかけて急に身長が伸びて、声変わりもし始めたんです。
身体的な成長もあって、大人にならなきゃという自覚が芽生えたのかもしれません。心身が成長する中で、「巣鴨中学校に行きたい」という目標を見つけることができたのも、1つの転機だったと思います。
——覚悟を決めて、最後まで投げ出さなかったのはすごいことですね。
受験勉強は好きではないけれど、「学ぶこと」が嫌いなわけではなかったからかもしれません。
うちの子は理科の中でも生物は好きなんですけど、力学とか、算数系に寄ってくると嫌になっちゃうんです。でも、社会とか国語は好き。
だから、小学3年生の頃は日本国内の世界遺産巡りをテーマに家族旅行を組んでいました。教科書だけで学ぶのは限界があるし、体験を通して学べる科目だと本人も興味・関心が出てくるし好きになりますよね。
——ご家庭でも、遊びや体験を通して学ぶ姿勢を大切にされていたんですね。
そうですね。例えば、「世界遺産をテーマに旅行しよう」と決めたら、事前に「どんな場所か」を本人に調べさせて、実際に行ってみる。そうやって、本人の興味・関心を引き出していました。
通っていた幼稚園も「ドルトン・スクール」という、代々木上原にある幼稚園なんですけど、そこが“ドルトン・プラン”という、ニューヨークや香港にもある教育理念を掲げていて。「みんなで同じことをする」というよりは、それぞれの好奇心や探求心を尊重して、主体的に遊び、学ぶという方針なんです。
だから最初のうちは、これまでの学びとあまりにギャップがありすぎて「受験勉強」がどういうものか、本人は意味が分からなかったのだと思います。



