8位 『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』
国内外から絶賛された1998年のアダルトアニメ『A KITE』の梅津泰臣監督による新作で、上映時間は35分と短く、物語も途中で終わるため、映画というよりはアニメシリーズの第1作という印象が強い作品です。主人公はもともとは成人した賞金稼ぎだったのですが、かつて自身の運命を狂わせた少女趣味の男の手にかかり、強制的に「14歳の機械の身体」に変えられてしまいます。観客は『A KITE』と同様に「かれんな少女が殺戮するアニメ」を期待して本作を見るわけですが、それが劇中の悪役の少女趣味および、ヒロインを意のままにしようとするおぞましい欲望と部分的に一致するという、ある種の「共犯関係」へと巻き込む作りになっているのが、いい意味で意地悪です。それでいて作画は超ハイクオリティーで、R15+指定大納得の血で血を洗う刺激的なアクションをたっぷり堪能できる作品に仕上がっていました。続編を心待ちにしています。
7位 『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』
「まさかの映画化!」という触れ込みに納得した人は多いでしょう。「原作」となる「たべっ子どうぶつ」はイベントやコラボ企画の取り組みがされてきた大人気のお菓子ですが、何しろ「物語がない」わけで、「ほぼイチから作り上げた」挑戦的な試みなのですから。そして、出来上がったのは、子どもは「ダメダメなチームが仲間を救うために大冒険!」にワクワクでき、大人も「ダークな人間の闇にも触れた物語」に唸(うな)るという、多層的なエンタメに仕上がっていました。さらには、「つい触りたくなるようなモフモフ感の毛並み」の3DCGの表現も素晴らしく、時には「えっ!?」と驚くアイデアのアクションも展開して、さらには「元がお菓子」という設定を活かした潜入作戦も面白く仕上がっているため、「日本で『トイ・ストーリー』に対抗する3DCGアニメ映画の名作が生まれた」という実感がありました。「ぺがさすちゃん」を演じた、連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)でも話題の高石あかりの歌声にも聴き入ってほしいです。
※高石あかりの「高」は「はしごだか」が正式表記
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