かつてない名作医療ドラマの予感! 松本潤主演『19番目のカルテ』の魅力を徹底解剖

放送がスタートした新たな日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)。松本潤さんが主演を務め、夏ドラマでは目玉となる作品です。そこで今回は、元テレビ局スタッフが同ドラマの魅力を深堀りします。(サムネイル画像出典:『19番目のカルテ』公式Instagram)

嵐の松本潤さんが主演を務める日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)の第1話が、7月13日に放送されました。同ドラマは、富士屋カツヒトさんの漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(コアミックス)が原作で、脚本は『コウノドリ』シリーズ(TBS系)を手掛けた坪田文さんが担当。松本さんは、2018年に放送された『99.9刑事専門弁護士-SEASONⅡ』(TBS系)以来、約7年ぶりに日曜劇場で主演を務めることになり、キャリア30年目で自身初の医師役に挑戦しています。

初回の平均世帯視聴率は、11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが分かり、順調な滑り出しを記録しました。そこで今回は、毎クールすべてのドラマを視聴する元テレビ局スタッフが、第1話のストーリーを基に『19番目のカルテ』の魅力を解説。どこが面白いのかを徹底検証します。

『19番目のカルテ』のあらすじは?

まず、魅力を解説する前に、『19番目のカルテ』のあらすじを紹介します。松本さん演じる主人公は、魚虎総合病院に新設された総合診療科に赴任してきた総合診療医の徳重晃。この総合診療科は19番目の新領域とされ、患者の病気だけでなく暮らしや家庭環境、心の状態も含めて診察を行う科です。患者それぞれの生き方そのものにも手を差し伸べる医療として注目されています。

『19番目のカルテ』は、この総合診療医に注目したことが魅力の1つです。これまでの医療ドラマではさまざまな医師が活躍してきましたが、今回の徳重は派手な手術などは行いません。その代わり、徳重は卓越した観察能力を持ち、問診を通じて見えてくる患者のしぐさや発言で不可解な点を見つけ出します。 第1話では、全身の痛みがあるもののそれは気のせいだとされてきた黒岩百々(仲里依紗)が、実は「線維筋痛症」だったことを徳重が発見。原因不明の痛みに悩まされ、自己嫌悪に陥っていた百々の心まで救う問診を行い、多くの視聴者の涙を誘いました。その問診風景を見ると、患者に寄り添うという言葉がぴったりの穏やかな対応で、これまでの医療ドラマになかった新境地を松本さんとスタッフが作り出していることが分かります。

松本潤が作り出した「徳重晃」という医師の魅力

第1話から強烈なインパクトを残した徳重を演じる松本さんですが、初となる医師役とは思えないほど素晴らしい演技を見せています。まず、前述した百々を問診した際ですが、徳重はとにかく何を話したいのか辛抱強く話を聞こうと耳を傾けます。これまで、人気が高い医療ドラマの主人公は、多くがズバズバと問題点を言い当て、ゴッドハンドで病気を取り除いてきました。そういった意味では、徳重はかなり異質な医師になるでしょう。そんな徳重を、松本さんはセリフの間や繊細な表情の変化などで丁寧に表現。「病気ではなく、人を診る」という、総合診療医の姿勢を完璧に演じきっています。

また、徳重の醸し出す独特な雰囲気も、『19番目のカルテ』の見どころの1つです。徳重は、穏やかでひょうひょうとしていて、つかみどころのない性格。一見するとマイペースに見えますが、生きることに向き合ってほしいという強い信念を持った医師です。そんな徳重が、患者を救うだけでなく、同僚となる医師たちの心も変えていきます。忙しく厳しい医療業界の中で、徳重は異端児的なポジション。ほかの医師たちとの関わりが、どうやって描かれるのかも見どころになるでしょう。
19番目のカルテ 徳重晃の問診 1巻 (ゼノンコミックス)
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