【子育て中の親も使える】子どもにイライラしないコツは、ただ1つ。公立小教師が先生を続けられるワケ

子どもに対して思わず感情的になってしまった経験は、誰でも一度はあるはず。子どもと接するプロである先生は、そんなシーンをどのように乗り越えているのでしょうか。現役小学校教師の松下隼司さんが実践している「演じる仕事術」を紹介します。

メリット4. 周りの意見や考えを、素直に吸収(真似)できるようになる

教師として授業や学級経営などの勉強をしていて、「安易に他の教師を真似するのはダメだ」と言われたことがあります。そして、「安易に」でなく、「自分なりに考えて、自分なりの方法で授業や学級経営をしなさい」と言われたこともあります。

真似して批判されるのが怖くて、自己流で仕事をしていま した。でも「自分なり」では、うまくいかないことの方が多かったです。そして失敗し、 まわりに迷惑をかけることが多くなりました。

しかし、“職を演じる”という意識をもったことで、考え方と働き方が変わりました。『呪術廻戦』や『HUNTER×HUNTER』という大人気漫画に、相手の優れた能力 を自分のものとしてコピーできる登場人物がいます。特級呪術師の乙骨憂太と、幻影旅団団長のクロロです。2人とも魅力的なキャラクターです。私もこの2人になったつもりで、同職の仕事をとことん真似するようになりました。

同職の優れた仕事ぶりを真似し続けて気づいたことがあります。

それは、教師が同職の仕事ぶりをコピーするために必要な条件があるということです。その条件とは、「表面上だけを真似」するのでなく、「相手の言動の意図を知り、自分に適しているかを判断する」ことでした。

ここまで“職を演じて働く”ことのメリットを挙げましたが、それでも“職を演じて働く”という表現に違和感や抵抗感をもたれるかもしれません。では、“化粧(メイク)をして働く”ことは、どうでしょうか? たぶん、違和感も抵抗感もないはずです。むしろ、ノーメイクで働く方が違和感・抵抗感があるはずです。

今どきは、女性だけでなく男性も化粧します。化粧は自分が良く見られたいという意識だけでなく、相手への気遣いでもあります。出勤前に化粧をすることで、気持ちも切り替わるし、帰宅後に洗顔して化粧を落とすことで気持ちがリフレッシュします。憧れの人のメイクを真似することで、自分の気持ちも変わります。

すっぴん(職を演じない)で働く自信と魅力は、私にはありません。職を演じて働くことで、“仕事の顔”を持てるようになることは、自分やまわりの人たちにとっても良いことなのです。

先生を続けるための『演じる』仕事術
先生を続けるための『演じる』仕事術

松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊『先生を続けるための『演じる』仕事術』(かもがわ出版、2025年8月19日発売)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。

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【4コマ漫画】「さっきも言ったよな! 何回同じこと言わせるんや!」というシーンで“教師という役”を演じると……
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