映画『フロントライン』が『シン・ゴジラ』を想起させる理由。見る前に知ってほしい5つのこと

6月13日より公開された映画『フロントライン』が、絶賛の声も納得する素晴らしい内容でした。『シン・ゴジラ』を想起させる理由をはじめ、見る前に知ってほしい5つのことを解説しましょう。(※画像出典:(C)2025「フロントライン」製作委員会)

3:豪華俳優による魅力的でクセのあるキャラクターたち

さらに、エンタメ性に強く寄与しているのが、豪華俳優陣による熱演っぷり。それぞれが、通り一辺倒な善人というわけではない、クセの強いキャラクターを見事に演じていることです。
フロントライン
(C)2025「フロントライン」製作委員会
小栗旬のDMATの指揮官は少し「やさぐれた」印象がありつつも、強い信念を持つことが分かる人物です。松坂桃李は初めこそ皮肉っぽい言い回しをする「ちょっとイヤな役人」に見えるくらいですが、次第に彼なりの正義感も見えてきます。

さらに、窪塚洋介は実働部隊のトップながら、ざっくばらんな物言いが逆にすがすがしくも思える人物。一方で、池松壮亮が演じる救急医からは、その表情やたたずまいを通じて、優しさや心配性な一面がしっかりと伝わってくるはずです。
フロントライン
(C)2025「フロントライン」製作委員会
主要キャラクター4人のうち3人が「表面的には少し不遜に見える」というのは、やや極端に思えるかもしれませんが、どの人物も、俳優たちがこれまでに演じてきた“得意な役柄”の延長線上にあって、とても魅力的に映ります。だからこそ「家庭を持つお父さん」を見せる池松壮亮が、相対的に「普通の人」として共感しやすくもなっています。

見る人それぞれが、自分に似たキャラクターを、自分の仕事や人生の経験にも重ね合わせて、感情移入できるはずです。

4:リッチな画による「あの場所に居合わせている」臨場感

また、派手な展開がなくとも、「スクリーン映えする画のリッチさ」が大きな魅力になっています。例えば、高い表現力からハリウッドなどでは標準になりつつあるカメラ「ALEXA 65」が日本の劇場用長編映画で初めて使われており、そのおかげで人間の目に近い、非常に広いパースペクティブ(遠近法)となり、没入感と臨場感が高まっているのだとか。
フロントライン
(C)2025「フロントライン」製作委員会
それは、豪華客船の大きさや、海の上でライトがまたたく美しさからも、存分に感じられます。船から放つ光や落とす影も細かく計算しながら撮影しており、あとからVFXチームが船を描きこんでいるとのことですが、「本物」にしか見えません。

オープニングの非常口のみがセットで、それ以外は全てロケ撮影かつ、船内の対策本部を再現した美術と装飾チームの仕事によるもの。そのかいがあって、「当時のあの場所に居合わせている」緊張感を味わえることでしょう。
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当時の「世界の縮図」があり、今も他人事ではない
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