今回は現役教師で学校現場の実態などを発信している教員ブラックさんに、教師の働く環境や職員室で何が起こっているのかをお話しいただきました。

教員間のパワハラは、管理職ではないミドル世代によるものが多い?
——ずばり、2019年に発覚した神戸市の小学校での教師同士のいじめ(激辛カレーを食べさせたり暴行したりするなど)のようなことは、多くの学校で起こっていることなのでしょうか。「どのような事例をいじめとするかにもよりますが、神戸のニュースのようなあからさまないじめは、僕は見たことがありません。実際にあるのは、いじめと呼べるか微妙な『力関係による働きにくさ』だと思います。
例えば、強い口調で話すベテランの教師がいると『なんでこんなこともできないんだ』という雰囲気を、ターゲットの教師に向けたりする。こういう人はどの学校にもいます。
そして、こういう方は管理職(校長、教頭など)よりも、40、50代のミドルリーダーに多い印象があります。経験豊富なこの世代の振る舞いを、管理職が注意できず傍観しているというケースも多いです」
——管理職が、本来部下であるミドルリーダーに注意できないという構造はなぜ生まれてしまうと思いますか。
「理由はさまざまあると思いますが、教員の年齢層も関係しているのではないでしょうか。現在管理職は50代が中心ですが、そのすぐ下の「氷河期世代」と言われる40代の教員がとても少ないんですね。
そして、彼らのすぐ下は20、30代の若手の先生ばかり。そうすると、少ない40代の教員が悪い意味で『プレ管理職』のような状態となり、若手に強く当たったり責めるような言葉をかけたりする状況になってしまいやすいのだと思います。
このような状況になったとき、多くの管理職はとにかく事態が大ごとにならないことを優先します。場合によってはミドルリーダーに言いくるめられてしまうケースもあります。
こうして誰もつらい状況にある若手を守ってくれないということになり、結果的に教師間いじめのようなことが起こりやすくなってしまうのだと思います」
モチベーションの低下により、勤務時間内にスマホゲームをする若手も
——東京都内だと、教員不足により20、30代の教師が中心となって運営している学校も多いかと思いますが、そういった学校の方が円滑な人間関係がつくれているのでしょうか。「そういうパターンもありますね。若い先生で協力し合ってうまく運営している学校ももちろんあります。
しかし、若さがプラスに作用する学校ばかりではありません。極端な例で言えば、新採用で担任を任された教員が、翌年の人事で『もう担任はやりたくない』ときっぱり言い切る場面を見たこともありました。彼は『他の先生の授業の補佐くらいの仕事しかしたくない』と言っていましたね。結局その補佐の仕事すらしっかりやらずに、教科準備室でスマホゲームをしてサボっている姿が目撃されていました。
彼はもともと小学校勤務希望だったそうですが、人手不足により中学校に配属されてしまい、モチベーションを失ってしまったのだそうです。人手不足の弊害がこうした形で表出してしまう場合もあります」