現役教師の教員ブラックさんに「トンデモ保護者」や子どもの信じがたい教師いじめの実例を交えて、実態をお聞きしました。

教師を追い詰める、保護者からの「レッテル」
——教師として働く上で、保護者との関係づくりについて大変なことはありますか。「一度保護者から『この先生はイマイチかも』と思われると、その後ずっと『できない先生』というレッテルを貼られてしまう例はあります。
以前働いていた学校に、自分自身が教師でありながら、同市内の他校に通わせている子どもの担任に対して『こういうところがダメだ、こういうところがよくない』と職員室で言いふらしている方がいました。
その行為の良し悪しはいったん置いておいて、『保護者間でもこうやってうわさを流されているのだろうな』と思いましたね」
——そうしたレッテルを貼られてしまうと、保護者からの理解や協力も得にくくなってしまうのでしょうか。
「そうかもしれませんね。一度『できない先生』のイメージがついてしまうと、なかなかそれが覆ることはないと思います。その結果、保護者との関係づくりにつまずいてしまい、1年の半分近くを休職してしまう先生もいらっしゃいました。
そうなると、その穴を埋めるのは残された教師たち。例えば専科の教員(クラスはもたず、特定の教科の授業のみをもつ教師のこと)が休職するとなると、クラスをもっている教員が授業数をカバーすることになり、仕事量が増えることとなってしまいます。
休職以外にも、産休や育休などさまざまな理由で教員の欠員が発生しますが、3人減ったとして1人補充されたらマシなほうというのが現場の実態です。
こうした環境で、保護者からの要望どおり、子ども一人ひとりの個性や学習進度に合わせて指導するというのはなかなか難しいです」
そもそも「1学級35人」を大人1人がまとめるのは現実的に妥当ではない
——現在、小中学校では35人学級が基本とされていますが、そもそもこの人数配置で文部科学省が求めているような「個別最適な学び」の実現は可能なのでしょうか。「これは僕の意見ですが、大人1人で子ども35人を一度に見るというのは、妥当な数字ではないと思っています。
現在、文部科学省からは『個別最適な学びの実現』が求められていますが、35人相手に本当に一人ひとりの個性や進度に合わせていたら、学級運営自体が成り立たなくなってしまいます。
実現するのは難しいかもしれませんが、例えば1クラスを2人の教師で見るなどの余裕がなければ国が求める細やかな指導は難しいと痛感しています」
——こうした慢性的な人員不足が、一部の保護者の「子どもをしっかりと見てもらえていない」「要望を聞き入れてもらえていない」という不満になり、結果的に教師に負担がかかってしまうのでしょうか。
「それはあるかもしれませんね」