ヒナタカの雑食系映画論 第165回

『サンダーボルツ*』を見る前に知ってほしい5つのこと。MCU過去作「予習ゼロ」でも楽しめる涙の傑作

絶賛が相次ぐ映画『サンダーボルツ*』の魅力および見る前に知ってほしい5つのことを紹介しましょう! それでいて「予備知識ゼロでも大丈夫」な明確な理由もあるのです。(画像出典:(C)2024 MARVEL)

サンダーボルツ
『サンダーボルツ*』 5月2日(金)日本公開 (C)2025 MARVEL
2025年5月2日より『サンダーボルツ*』が劇場公開中です。結論から申し上げますが、ものすごく面白い作品でした!

本作はアメリカンコミックのヒーローが同一世界で活躍する「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)」の1つ。「フェーズ4」以降のMCU作品はやや厳しめの評価も寄せられることもあり、Disney+(ディズニープラス)で配信のドラマも含めて作品数が膨大なため、追いかけるモチベーションが下がってしまった、という人もいるでしょう。

しかし、今回の『サンダーボルツ*』はアメリカの批評サービスのRotten Tomatoesで批評家支持率が89%に観客満足度も95%と、シリーズでもトップクラスの高評価(5月上旬現在)。しかも後述する理由で、予備知識がなくても楽しめると断言できますし、実際の本編を見ても「とにかく面白いから見て」とシンプルに大推薦できるのです。
 
 
それでも「ほかの作品を見ていないけど大丈夫?」と不安に思っている人のために、大きなネタバレにならない範囲で、見る前に知ってほしいポイントを5つに分けて紹介しましょう。何1つ知らずに見たいという人は、先に劇場へと駆けつけてください。

1:「1作だけ予習」は『ブラック・ウィドウ』がおすすめ

後述しますが、本作のメインキャラクターたちは、MCU作品それぞれに登場していた「過去に傷を持つアウトローたち」です。中でも本作と最も密接に絡んでいる映画は、2021年公開の『ブラック・ウィドウ』でしょう。
 

今回の『サンダーボルツ*』の実質的な主人公である「エレーナ」は、ヒーローチーム「アベンジャーズ」の紅一点「ブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)」の妹です。映画『ブラック・ウィドウ』を見ていると、今回のエレーナの「空虚」な気持ちにより同調しやすくなるかもしれません。

あえて1作品だけでも予習のために見ておきたいのであれば、『ブラック・ウィドウ』だけでも十分でしょう。

2:ちゃんと「類推」できるようになっている

本作を見ると必然的に2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレになるのでそちらもできれば事前に見てほしくなり、ほかにもこのキャラクターはこの作品でこういう立場で……と説明したくもなってしまうのですが、そうした気持ちは「エゴ」なのかもしれません。

どのシリーズ作品でも、ファンはついつい「最大限に楽しむにはこの作品を見ておいたほうがよくて……」などと「予習の必要性」を訴えたくもなりますし、それはもちろん親切心や作品への愛情があってこそ。実際に予習しておけばさらに楽しめるとも思うのですが、大抵は何も知らずに見ても「類推できる」ようになっているものです。
サンダーボルツ
(C)2025 MARVEL
直近では、テレビアニメや原作のエピソードとリンクもしている『名探偵コナン 隻眼の残像』もそうでしたし、今回の『サンダーボルツ*』もちょっとした会話から「なるほど、こういう人か」「こういう設定なんだな」とちゃんと分かる、一見さん向けとも解釈できるセリフも織り込まれています。

筆者自身もDisney+で配信中の2021年のドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を未見だったり、4年前に見た『ブラック・ウィドウ』の内容をほとんど覚えていなかったりもしましたが、それでも問題なく楽しめました。繰り返しますが、この『サンダーボルツ*』は「予習はしなくても大丈夫」と断言します。

※以下、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレに触れています。
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