ヒナタカの雑食系映画論 第163回

『マインクラフト/ザ・ムービー』が、ゲーム原作映画として「大正解」を叩き出した3つの理由

公開中の『マインクラフト/ザ・ムービー』がゲーム原作映画の「大正解」と言える素晴らしい出来栄えでした。その3つの理由や、元のタイトルに「重要な要素」が示されていたことなどを解説しましょう。 (※画像出典:(C)2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.)

マイクラ映画
『マインクラフト/ザ・ムービー』 4月25日(金)全国公開 2D/3D/4D/Dolby Cinema(R)/ScreenX/IMAX(R) 字幕版・日本語吹替版 配給:ワーナー・ブラザース映画 (C) 2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories
2024年4月25日より『マインクラフト/ザ・ムービー』が劇場公開中です。まずは、今作が記録的な超大ヒットを飛ばしていることと、原作ゲームの超人気ぶりに触れなければならないでしょう。

子どもだけでなく「親御さん」にもおすすめ

何しろ、アメリカでは2025年最大のオープニング記録を樹立しており、初動ではあの『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を超えてゲーム原作映画史上No.1。さらに、公開3週間で世界興行収入は1000億円を突破しているのです。
 

そして、原作となるゲーム『マインクラフト』は「世界で最も売れたインディーズゲーム」としてギネス世界記録に認定されており、2023年には世界売上本数がなんと3億本を突破しています。

有名配信者による実況動画もとてつもない再生数を叩き出しており、子どもの認知度も非常に高く、2023年時点での小中学生によるゲーム利用率の最多は『マインクラフト』でした。さらに、子どもの創造力や探求心をはぐくむために教育現場でも活用されており、もはやゲームという枠組みを超えて、現代の「文化」とすら言えるコンテンツなのです。
 

そして、断言しておきますが、今作は「ゲームをまったく知らなくても楽しめる」「ゲームを知っているとそのリスペクトや再現がうれしくなり、より楽しめる」という、一見さんにもゲームファンにも大いに推薦できる内容に仕上がっています

かつ、作品のトーンは良い意味で「クレイジー」なコメディー。「アッパー」な魅力を持つ娯楽作としても、自信を持っておすすめできます。

また、今作を特に見てほしい層は「子どもが遊んでいるのを横目で見ていた親御さん」なのかもしれません。後述するように、ゲームの面白さやその意義をしっかりすくい取っているので、鑑賞後には『マインクラフト』というコンテンツについての会話に花が咲くでしょうし、親子の絆を深めるきっかけにもなるはずです。

ゾンビが「ちょっと怖い」ことには注意?

注意点は、原作ゲームでもけっこう怖い存在だった「ゾンビ」が、映画でもなかなか恐ろしく見えることです。

原作ゲームは「ドット絵」が3Dになったような、良い意味で簡素とも言えるグラフィックも魅力的なのですが、映画では「リアル」寄りな映像となっており、よりゾンビのほかにも「敵」となるキャラクターや、「夜」のシチュエーションに恐怖を覚えるかもしれません。

とはいえ、ゾンビが怖いシーンは数十秒程度で、「小さい子が怖がってしまうかも」という懸念はわずか。「ちょっと注意が必要なくらい」だとは思います。「ゾンビが怖いから見ない」というのはさすがにもったいないですし、これくらいなら「良い刺激」として、おおむね親御さんも受け入れられるのではないでしょうか。

さらなる魅力を、大きく3つのポイントに分けて深掘りしていきましょう。予備知識を必要としない内容でもあるので、内容をまったく知らずに見たいという人は、先に劇場に駆けつけてください。
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ゲームを知らなくても「大丈夫」な理由
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