フランス在住の筆者も、現地で雨が降るたびにそのような光景を目にしています。逆に今ではフランス人のように、傘をささない習慣がすっかり身についてしまいました。周囲のフランス人に質問してみても、「傘は普段から持たない」と、ほぼ全員から同じ答えが返ってきます。
では、どうして彼らは傘をささないのでしょうか。服や髪の毛がぬれることに抵抗はないのでしょうか。その理由を徹底的にリサーチしてみました。
とにかく面倒。日本のようにワンコインで変えず、盗難が多い

何人かに「なぜ傘を持たないのか?」と聞いてみたところ、一番多かった答えが「面倒だから」でした。フランス、特にパリの天気予報は外れることが多く、「傘を持って行ったのに結局雨が降らなかった」という経験がよくあるそう。だったら、重くてかさばる傘をわざわざ持ち歩くのはやめよう、となるわけです。ちなみにフランスの折り畳み傘は、日本のコンパクトな傘に比べてやや重い傾向にあります。
さらに理由を探ってみると、「傘をよく盗まれるから」という意見もありました。傘の盗難は珍しいことではないものの、フランスでは残念ながら頻繁に起きることです。日本のようにワンコインで買える傘もないので、毎回盗まれては痛い出費になってしまいます。つまり、フランスの人々はちょっと雨にぬれるくらいなら全然OK。傘を持ち歩いたり盗まれたりする“煩わしさ”を避けるために、あえてぬれるという潔い選択をしているのです。
必ず持っている物は「傘」ではなく「レインウェア」

雨の強さによって傘をさすかどうかを決めるフランス人ですが、中には土砂降りでも傘をささない“強者”が存在しています。「傘嫌い」の1人である、筆者の知り合いの答えは、「フードをかぶるから大丈夫(?)」というものでした。
なんでも彼は、人生で1度も傘を持ったことがないそうです。代わりに着用するのは「レインウェア」で、これに付いたフードを傘代わりにしてきたのだとか。話を聞けば、彼の両親や兄弟もフードで雨をしのいでいたとのことです。
こうしたフランス人は意外と多く、傘よりも、レインウェアを必ず持っている人の方がメジャーな印象です。筆者としても、雨が降ったきた際に「傘はないの?」ではなく「フード付いてないの?」と聞かれた経験がありました。
実際、デパートやショッピングセンターでは、傘よりもフード付きプルオーバー、レインウェアの方がラインアップは豊富です。フランスでは傘のバリエーションが少ないと感じていた筆者ですが、そもそも傘への需要自体が少ないのだと今では納得しています。