フランスで「歩行者の信号無視」が多いのはなぜ?「赤信号で待っていたら日本人」と冗談にされるワケ

海外の道路事情は日本と異なることが多く、フランスも例外ではありません。在住者の視点から、驚きの運転マナーや交通ルールの違いを紹介します。

自転車が増えたパリでは

パリの自転車
パリの自転車専用レーン
フランスの首都パリでは、ほかの都市と少し事情が異なっています。というのも、パリ市はアンヌ・イダルゴ市長が掲げる環境政策により、2026年までに「100%自転車で移動できる街」を目指しているためです。

自転車専用レーンの設置など、インフラに投資した金額は日本円でなんと330億円。さらに、カーフリーデーの導入や駐車料金の引き上げを進めた結果、現在では自転車の利用者数が自動車を上回るまでになりました。

しかし自転車人口の急増に伴い、新たな問題も発生しています。ヘッドホンを付けたままの危険走行、信号無視、そしてスピードの出し過ぎなど、マナーの悪さが目立つパリのサイクリスト。数年前から社会問題化し、今では歩行者からも車のドライバーからも、「危ない」と嫌がられる存在になってしまいました。

その影響で取り締まりも強化されているのですが、2025年3月初めには、わずか2時間で88件の違反切符が切られたというニュースがありました。なおフランスでは、自転車の交通ルール違反には90ユーロ(約1万4400円)の罰金が科されることになっています。

こうして、乗り物に乗るとなぜか気が荒くなってしまうフランス人。理由は当の本人も「よく分からない」とのことですが、自転車利用に対する罰則は今後さらに厳しくなっていくのかもしれません。

日本と異なるフランスの交通ルール

最後に、日本では見かけないフランスの交通ルールを紹介します。

ロン・ポワン(円形のロータリー交差点)

ロン・ポワン
フランスでよく見かける円形交差点
フランスには信号が存在しない「ロン・ポワン(Rond Point)」と呼ばれる交差点があります。一方通行のロータリー式で、進入すると反時計回りに回りながら、自分の進みたい方向の道へと抜ける仕組みになっています。

信号は縦表示

フランスの信号機
フランスの信号機
また、日本の信号機は横向きですが、フランスでは縦向きです。ただ高さが場所によって異なるため、低い位置にあると慣れるまでは見づらく感じるかもしれません。

秒数が表示される歩行者用信号機

新型の歩行者用信号機
新しいタイプの歩行者用信号機を発見
日本の歩行者用信号は、青が点滅してから赤に変わる仕組みですが、フランスでは点滅の予告なしに突然赤に変わります。そのため渡り始めるタイミングを誤ると、途中で赤信号に切り替わってしまうことも……。

しかし最近のフランスでは、安全面を考慮して「渡れる残り時間」を秒数で表示する信号機が登場するようになりました。点滅するタイプよりも安心感を抱くため、今後さらに広がってほしいと感じています。

この記事の筆者:大内 聖子 プロフィール
フランス在住のライター。日本で約10年間美容業界に携わり、インポートランジェリーブティックのバイヤーへ転身。パリ・コレクションへの出張を繰り返し、2018年5月にフランスへ移住。2019年からはフランス語、英語を生かした取材記事を多く手掛け、「パケトラ」「ELEMINIST」「キレイノート」など複数メディアで執筆を行う。
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