
この書籍では、とあるフレンチマダムの「お金をかけない丁寧な暮らし」が紹介されており、筆者も渡仏前は「本当にフランス人はこんなにシンプルな生活を送っているのだろうか?」と気にしておりました。
フランスに移り住んで7年がたった現在は、フランス人の価値観やファッションに対する現実的な考え方を目の当たりにする毎日。その中には書籍と一致する部分もあれば、日本と共通する価値観、そして全く異なる点が存在しています。
フランス人は流行を気にしない

日本人と少し違うのは、「ファッションの流行」を気にする人が少ないこと。パリコレ、モードの街、といったイメージが先行するパリですが、一部ファッション業界の人を除いては、皆が自分の着たい服を「人目も気にせず」自由に着ている印象です。
これにはやはり、フランス人の国民性が関係しているのでしょう。フランスはもともと、「私は私」「ほかの人にどう見られようと関係ない」といった個人主義が根付く国。フランス人とファッションの話をしていても、服に「年相応」や「体型カバー」を求めていないと感じます。
よって、ある程度のTPOはあっても、流行を追いかけることがありません。自分らしさと動きやすさを常に求めているせいか、ファッションについては「意外と無頓着だな」と感じることもしばしば……! 実際に、日本を訪れたフランス人からは「日本の女性がすごくおしゃれだった」という声を何度か聞きました。
服をストックできない住宅事情
「服を10着しか持たない」というフランス人はレアでも、「少なくせざるを得ない」住宅事情がフランスにはあります。フランスに来て驚いたことの1つは、クローゼット備え付けの家やアパルトマンがものすごく少ないこと。ウォークインクローゼット、シューズクローゼットが備わっている家はかなり珍しい(あるいは高級住宅)と言えるでしょう。
地震が少ないフランスでは、築50年以上の物件が当たり前のようにあります。50年もたてば人々のライフスタイルが変わるのも当然ですね。昔はきっと、今ほど服を持たなかったのでしょう。このような事情から、クローゼットは各自「後付け」として購入するしかないのです。

このように、服をたくさん買ってしまえばまた1つ、また1つとクローゼットを購入しなければなりません。本来ミニマリストではないけれど、服を売ったり譲ったりして“結果的にミニマリストになっている”フランス人は多いのではないでしょうか。