日本とは異なる、フランスの息苦しい「おひとりさま」事情。“ソロ活”をしている人はどう見られる?

焼き肉、カラオケ、ラーメン、キャンプなど、「おひとりさま」に寛容な日本。一種の文化として定着しつつあるこの「おひとりさま」ですが、海外では珍しく映ることもあります。今回は、パートナー文化が根付くフランスから「ソロ行動」に対するリアルな意見をお届けします。

パリの風景
カップル文化の根付くフランスでソロ行動はできるのか(写真は筆者撮影、以下同)
「“おひとりさま”への圧が強い」これは、フランスで暮らす筆者がよく感じることです。誕生日パーティーや結婚式、旅行などは特にそうで、これらのイベントはパートナーか親しい友人と一緒に行動することが普通とされています。

例えば、日本で1人旅をした際の経験をフランスの友人に話した時のこと。彼女の反応はこうでした。「1人で旅行? すごい。勇気あるね!」

彼女にとっては、旅先での体験談そのものよりも、日本の治安の良さや、女性が1人で旅行する意志の方が印象的だったようです。1人旅という行動がフランスでは一般的ではないため、驚きや新鮮さを感じたのかもしれません。

フランスでは「おひとりさま」への風当たりが強い

というのも、フランス含む欧米諸国では「カップル文化」が根付いているためです。男女の組み合わせに限らず、イベントにパートナーを同伴するという習慣が一般的で、オフィシャルな場面でもカジュアルな場面でもその傾向が強く見られます。

しかしながら、「関係が薄いのに出席しなければならない」場合があるのをご存じでしょうか。例を挙げれば、パートナーのいとこの結婚式や、大学時代の同級生との飲み会などです。自分が誰1人として知らない環境に「パートナーだから」といって連れ出されるのは、日本ではあまり経験しないことでしょう。

「誰も知らないし」と言って断ることもできません。断ってしまえば、パートナーが先方から「あそこは付き合いが悪い」と陰口を叩かれることも。若い世代ではこうした慣習も薄まりつつありますが、年配のフランス人の間では「おひとりさま」への風当たりがまだ強いのが現状です。

ただ、このカップル文化には「パートナーの周囲と絆を深められる」というポジティブな面もあります。フランスでは「告白してから付き合う」習慣がないため、身内のイベントに招待されることで初めて「正式なパートナー」として認められるのです。これは信頼の証しとも言えるでしょう。

とはいえ個人的には、1人の意志で自由に行動すること、そしてそれを否定しない環境がもっと広がってもいいのではないかと感じます。中世から続く「カップル社会」で暮らすフランス人は、この点についてどう思っているのでしょうか。何人かに話を聞いてみました。

レストランは問題ないが旅行は難しい

パリのカフェ
今の時代、ソロ飯は全然OK
まずは外食について。今回話を聞いたフランス人からは、「1人でレストランに行くのはまったく問題ない。食事がメインなのだから、1人で行きたかったら1人で行けばいいし、誰かと行きたかったらその相手が人でも犬でも構わない。話し相手が欲しかったらセルヴールやセルヴーズ(ウエーターやウエートレス)に話しかけるといい。みな慣れているだろう」と回答をもらいました。

確かに、以前と比べるとフランスのレストランでも「おひとりさま」が増えてきたように感じます。特に首都パリではその傾向が強く、おひとりさま好きな筆者自身も、よく1人でレストランに行き食事を楽しんでいます。店のスタッフから奇異な目で見られる、という経験は特にありません。

同じく1人で食事をするフランスの人々も、頻繁に目にします。ただしこうした光景は、ディナーよりランチに多いかもしれません。理由は2つあり、まずはディナーがランチに比べて値段が高くつくこと。そして、日本のように「おひとりさまに特化した飲食店」が少ないことです。そのため1人で夕食を取る場合は、テイクアウトやデリバリーの方が多いと言えるでしょう。

また、1人の食事が問題ないとは言っても、レストランの雰囲気や状況によっては気まずさを感じることもあります。フランス在住者の視点としては、カフェやブラッスリー(カジュアルなビストロ)が最も1人で入りやすく、高級フレンチが最も1人で入りにくいと感じています。
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フランス人にとってはハードルの高い「1人旅」
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