そこで今回は、「M-1グランプリ」をはじめ、さまざまな賞レースでも活躍しそうな「2025年注目の芸人5組」をご紹介します。
1:エバース
エバースは、2024年10月に若手芸人の登竜門である「令和6年度 NHK新人お笑い大賞」を受賞し、12月には「M-1グランプリ」決勝に初進出。3位の真空ジェシカにわずか1点差で惜しくも4位敗退という結果だったことを覚えている人も多いでしょう。そんなエバースは2025年にブレーク必至……というか今まさにブレークしている最注目コンビです。
ちなみに、メンバーの佐々木隆史さんと町田和樹さんはどちらも野球経験者。2024年9月には宮城県出身の佐々木さんが東北楽天戦の始球式を、相方の町田さんがその球を受けるキャッチャー役を務めたことも話題になりました。
コンビ名のエバースも「バントの構えからバットを引いて投球を見送る動作」を意味する野球用語が由来。漫才はもちろんですが、野球関連イベントなどの活躍も増えそうですね。
2:ふかわりょう
「注目芸人って、普通は“売り出し中の若手”を紹介するでしょ……」と思った皆さん、確かにその通りではありますが、下記の事実を知っていましたか?ふかわさんは芸能生活30周年の新たな挑戦として、2024年8月に迎えた50歳の誕生日に「R-1グランプリ」への参加を表明。そして現在開催中の「R-1グランプリ2025」で、準々決勝まで進んでいるんです! “30年選手”だろうと、特別シードなんてないのがお笑い界の賞レース。1回戦からの出場ということは、ほかの若手やアマチュアたちに混じって、エントリー料を支払い、大楽屋で着替えて、待機列に並び、出番になったら紹介もされずに出囃子(でばやし)が流れて、袖から舞台へと飛び出していくわけです。
ウケるかどうかも分からないし、失敗したらそれこそ何を言われるか分からない。キャリアを積んだベテランだからこそ、なかなかにハードルの高い挑戦ではないでしょうか。その上さらに結果まで出して、準々決勝まで進出してしまうなんて……!
前回大会の「R-1グランプリ2024」では、ベテラン漫談家の街裏ぴんくさんが見事優勝し、話題になりました。
今年の主人公は、ふかわさんなのか……? これは注目せざるを得ないでしょう!
3:TCクラクション
TCクラクションは、元ピン芸人の曇天三男坊(現・古家曇天)さんと、元ドリーマーズの坂本No.1さんが2019年に結成したコンビ。「キングオブコント」は2020年から5年連続で準決勝進出、「M-1グランプリ」も2021年から4年連続で準々決勝進出と、まさに「令和になってからずっと“売れかけている”」と言える実力派コンビです。
1人コントで培った演技が光る曇天さんと、よく通る大声ツッコミが魅力の坂本さん。2022年の「M-1グランプリ」では、準々決勝で披露したディベートのネタで2人の良さが爆発して大ウケするも、結果はまさかの敗退。当時は「これでも上がれないのか」とSNSでも話題になりました。 2024年大会の3回戦ではそのディベートネタを思わせるような「1人言い合い」を披露して会場を沸かせましたが、またしても準々決勝の壁が越えられず敗退。今年こそは売れてほしい……!
4:愛凛冴
愛凛冴(ありさ)は、フースーヤや天才ピアニストらと同じNSC(吉本総合芸能学院)大阪校38期生の横山さんと玲二さんが、ユニット活動を経て2023年8月に結成したコンビ。その快進撃はすさまじく、結成1年で厳しいバトルライブを勝ち抜き「よしもと漫才劇場」に所属すると、勢いそのままに2024年の「M-1グランプリ」でも準々決勝に進出。まさに彗星のごとく現れた注目コンビです。
横山さんの奔放なボケに、こわもてでガタイのいい玲二さんが繰り出す見た目とギャップのあるハイトーンのツッコミが魅力。
「M-1グランプリ」の舞台でも、ネタの冒頭で太ってるイジリをされた玲二さんが「あと僕、反○じゃないですからねぇ!」と付け足す“二重のつかみ”でお客さんの心をかっさらい、その後も舞台を大きく使って拍手笑いを連発。 残念ながら準決勝には上がれませんでしたが、結成してまもない彼らの伸びしろは計り知れません。今年の賞レースでの活躍が楽しみです。
ちなみにコンビ名の由来は、互いの体に入っているタトゥーの文字を合わせた……わけではなく、ユニットを結成した喫茶店「アリサ」から取ったそうです。反○じゃないですからねぇ!
5:黒帯
黒帯は、高校の同級生だった大西進さんとてらうちさんが2010年に結成したコンビ。2018年から7年連続で「M-1グランプリ」準々決勝進出を果たし、お笑いファンから毎年のように「今回こそ決勝に行きそう」と言われてきましたが、結成15年となる今年、ついにラストイヤーを迎えました。彼らにとって兄貴分のようなコンビ・金属バットと同様、「THE SECOND」というセカンドチャンスがあるとはいえ、やっぱり「M-1グランプリ」決勝で活躍する姿を見たいですよね……!
黒帯がやっているラジオ番組『黒帯のブロンドスポーツ脚研究会』(ラジオ関西)でもたびたび話題となり、今年初の放送回のタイトルも『金属バット or ゴールデン』でした。男性リスナーからの浮気に関する相談に対して「どう答えるかで今後の芸風が決まる」「ゴールデンで活躍するのか、金属バットさんと一緒にやっていくのかの2択が頭に浮かんだ」と悩む様子は、まるで今のコンビが置かれている現状と重ねているかのようでした。
はたしてどちらのルートをたどることになるのでしょうか。こちらも目が離せません!
2025年、以上の5組をぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル『コントするイシカワくん』シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。