【発明すぎる】水ダウだから成立した長編ドッキリ「名探偵津田」、この神企画の強さはどこにある?

『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で放送された企画「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」、通称「名探偵津田」がSNSで大きな話題に!(サムネイル画像:『水曜日のダウンタウン』公式Xより)

名探偵津田、めちゃくちゃ面白い説!

TBSの人気バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(以下、水ダウ)で放送された企画「犯人を見つけるまでミステリードラマの世界から抜け出せないドッキリ、めちゃしんどい説」、通称「名探偵津田」がSNSで大きな反響を呼んで話題になっています。
 

今回は、2023年中の次回作もうわさされているこの企画の魅力について考えてみたいと思います。

バレた後も続ける! 水ダウだからこそ成立した長編ドッキリ

名探偵津田は、村で偽のロケ番組の収録をしていたダイアンの津田篤宏さんが、突然、その村の殺人事件に巻き込まれるように仕組まれています。津田さんは、ドッキリだとすぐに気付きますが、犯人を見つけるまでこのミステリードラマの世界から抜け出せない(収録が終わらない)という設定も理解していき、渋々「名探偵津田」として犯人探しを始めます。面倒くさがりながらも、事件解決のために動きひらめいていく、愛嬌(あいきょう)たっぷりの津田さんを楽しめます。

水ダウでは、これまでにも「どんなにバレバレのダメドッキリでも芸人ならつい乗っかっちゃう説」や、逆にうそみたいな撮影現場なのに本当のCMに出演できる「CMホントドッキリ」など、バレた後もその世界に拘束し続ける手法のドッキリをたびたび仕掛けてきました。

2023年1月に放送された名探偵津田の第1弾も、背中にナイフが突き刺さった死体、なぜか居合わせる医者など、いかにもなドッキリ。

仕掛けられた津田さんもすぐに気付きますが、ツッコミはしても流れからは降りず、渋々乗ってあげる形で企画が進行していきます。

いくら芸人が空気を読むことに長けているとはいえ、水ダウ以前のテレビでこれを成立させるのは難しかったはず。

名探偵津田は、水ダウが芸人と視聴者に対して積み上げてきたドッキリ文化があったからこそ生まれた神企画と言えるでしょう。

チェーホフの銃なんか知らん! ミステリーのお約束をスカせる強さ

名探偵津田はドッキリを楽しむバラエティでありながら、謎が謎を呼ぶミステリードラマでもあるという、視聴者にとって2倍面白いコンテンツ。

SNSも「津田さん面白い!」という感想だけでなく「あいつが犯人じゃない?」という考察で2倍盛り上がる仕組みになっています。こんな強いコンテンツあるかよ……!

さらにすごいのは、あくまでバラエティなので、ミステリーのお約束をスカせること! ミステリードラマの世界には「チェーホフの銃」と呼ばれる約束事があります。

誰も発砲しないなら、その部屋にライフルを置いてはいけない。回収されない伏線は張るべきでないという格言です。

ところが名探偵津田は、あくまでバラエティ番組。「ただライフルが置いてあるだけでした」というお笑いの「スカし」にすることができます。

ミステリーなら批判されるところが、面白ポイントに変わる! なおかつミステリーとしても、推理する津田さんと視聴者を惑わせる「空伏線」を作ることもできます。

これぞまさにバラエティとミステリーのいいとこ取り!
 

スタジオ出演していたバカリズムさんも、「羨ましくなる企画。発明」とコメントしています。
 

大みそか特番で怪盗ユースケ登場!? 今後の展開を予想してみた

大反響の中、第2弾が完結した名探偵津田ですが、番組演出である藤井健太郎さんが「2023年は名探偵の年でまだ終わりじゃない」と発言したことで、日本テレビの「笑ってはいけないシリーズ」のような大みそか特番になることを期待する声も上がっています。
 

大晦日特番、ぜひやってほしい! ゆくゆくは『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』 のような映画化や、海外版も作られた『ドキュメンタル』(Amazonプライムビデオ)のような世界展開もあり得ない話じゃないですよね。

もしかしたら、リアル脱出ゲームのような体験型イベントとして発展するなんてこともあるかもしれません。リアル名探偵津田ゲーム。やってみたい! 夢が広がりますね。名探偵津田は、それくらいの大発明だと思います。

まずは年内に予定されているらしい第3弾がどうなるか。個人的には、『名探偵コナン』における怪盗キッドのような、怪盗役として巻き込まれる人がいても面白いなと思います。

それこそ相方のユースケさんが、怪盗ユースケとして巻き込まれちゃうとか! そしたら津田さん、どんな顔するかな? 「設定とメタのはざまに飲み込まれ、自我が保てなくなる」あの津田さんをまた見たい……!
 

水ダウが発明した神企画、名探偵津田。これからも目が離せません。


この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル『コントするイシカワくん』シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。
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