独特の“ゆるさ”が魅力? 『ヤギと大悟』が人気の理由を元テレビ局スタッフが考察

テレビ東京系でレギュラー放送中の新感覚バラエティ番組『ヤギと大悟』。その魅力を、元テレビ局スタッフが過去の放送も振り返りながら解説します。

『ヤギと大悟』(テレビ東京系)画像出典:公式サイト

テレビ東京系で毎週金曜19時25分から放送しているバラエティ番組『ヤギと大悟』が大きな盛り上がりを見せています。2021年から不定期特番としてたびたび放送され、テレビ関係者やお笑いファンの間では独特な演出が話題を集めていました。
 

番組はヤギの「ポポ」ちゃんが主役で、相方としてお笑いコンビ・千鳥の大悟さんが登場。番組構成はいたって簡単で、ポポと大悟さんが田舎町に行って除草のお手伝いをするというものです。ヤギのポポは草を食べるので除草が可能で、おなかがいっぱいになったらロケは終了というゆるい番組になっています。
 

この『ヤギと大悟』が、2023年4月7日の特番からレギュラー放送を開始。まだ見たことがない人のために、元テレビ局スタッフの筆者がこれまでの放送を振り返りながら面白さを解説していきます。
 

「ギャラクシー賞月間賞」も獲得するテレビ業界で話題の番組

同番組はこれまで、テレビ東京系では2021年12月28日、2022年4月30日、2023年1月2日にお昼の番組として放送されてきました。人気芸人の大悟さんが出演するのに、ゴールデン番組ではないことも話題に。また、大悟さんのネームバリューがあったからか、三宅健さん、佐藤隆太さん、井ノ原快彦さん、野村周平さんとビッグゲストばかりが登場。一気に番組の評判が広がりました。
 

独特な面白さがTwitterを中心に口コミで広がり、テレビ東京系が映らない地域でもTVerや公式の見逃し配信で人気を集めました。その結果、「2022年1月度ギャラクシー賞 月間賞」「第38回 ATP賞テレビグランプリ・情報・バラエティ部門 最優秀賞」を受賞しています。
 

人気芸人の大悟が見せる、究極の自然体バラエティ

そんな栄誉ある賞を受賞している番組ですが、内容は良い意味で“ゆるゆる”です。ポポと大悟さんが、除草のお手伝いをする地元民を探す場合も完全にアポなし。畑仕事などをしている住民に声をかけ、そのまま家について行くことも多くあります。
 

ポポが主役だと紹介しましたが、番組の構成上はもちろん大悟さんがトークを回していきます。というよりも、もちろん言葉が話せないポポが主役なので、番組ではほとんど大悟さんが住民を相手に話し続けています。
 

この『ヤギと大悟』の最大の魅力は、大悟さんとロケ先に住む人たちとの交流にあります。芸人の中でも、一二を争う自然体で、番組中にタバコを吸い出すことも多い大悟さん。自然体がなせる技なのか、本来ならば田舎町で大騒ぎとなりそうなレベルの人気芸人のロケにもかかわらず、ゆったりとした牧歌的な雰囲気が漂っています。
 

特に、大悟さんを何となく知っているだけのシニア層と絡むときに、この番組の持ち味が発揮されます。世間話をするようなゆるいトーンで、おじいさん、おばあさんと話す大悟さん。住民には自由にトークをしてもらい、邪魔することなく絶妙なツッコミを入れて話を盛り上げていきます。
 

それはポポに対しても同じで、自由気ままに草を食べ眠そうにする姿を大悟さんは優しく見守ります。フンをしたら大悟さんやゲストが処理し、立ち止まればそこで無理にリードを引っ張らないで好きなようにさせます。
 

この「自由すぎる」雰囲気に、これまで出演した数多くの大物ゲストは戸惑いながらも、いつしか同じゆるさで番組を進行していくようになります。


>次ページ:無理にボケない、笑いを作らないゲストがいい味を出す
 

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