独特の“ゆるさ”が魅力? 『ヤギと大悟』が人気の理由を元テレビ局スタッフが考察

テレビ東京系でレギュラー放送中の新感覚バラエティ番組『ヤギと大悟』。その魅力を、元テレビ局スタッフが過去の放送も振り返りながら解説します。

無理にボケない、笑いを作らないゲストがいい味を出す

そんなゲストですが、基本的には同局の「番宣」で登場することが多くなっています。レギュラー放送で初回ゲストを務めた江口のりこさんも、ドラマの宣伝で登場。不思議な雰囲気の江口さんは番組にマッチし、「遊びに来たようだ」と戸惑いながらいつしか馴染んでポポとのロケを心から楽しみました。

また、同じく初回に登場したユウタさん(NCT 127)の時も、ゆるすぎる笑いを多く生み出しました。番組のファンだと言ってくれたユウタさんですが、大悟さんはいまいち人気があるのか分からない……。そこで、中学校に行ってみると、大絶叫する女子学生が続出。それを見て大悟さんは、本当にユウタさんが人気者だと理解します。
 

しかも、そのまま大喜びする女子学生を連れて、自宅で除草作業をするというなんとも大らかな展開に。ユウタさんは、ファンの女子学生やお母さんに笑顔でサインするなど、何ともゆるいままロケは終了していきます。
 

この番組には、ボケようと頑張る芸人が出てきません。歌手や俳優がゲストだからこそ、無理に笑いを作ろうとせず、独特な雰囲気を守りながらロケを成立させられています。今後も、このゲストの人選は守られていくことが予想されます。過度なボケやリアクションなどがいらない、新しい形のバラエティ番組の空気感を堪能し続けられると思います。
 

ロケの達人がたどり着いた、何もしない面白さ

忘れてはいけないのが、大悟さんは関西では知らない人がいないほどの「ロケの達人」だということ。何もボケるところがないスポットでも、「海落ち」などをはじめ、数々の伝説的な名場面を生み出してきました。
 

そんな大悟さんが、ボケるでもなく「この番組の主役はポポだから」とあくまで黒子に徹します。だからこそ、無理なボケは必要ないという空気感が視聴者にも生まれ、何も起きないほのぼのとした番組が成立しています。視聴者もまた、この番組の構成の一部として視聴の仕方を試されていることになります。
 

現在は、バラエティ番組の撮れ高やボケを一般の人でも心配するような時代。そんな中で、『ヤギと大悟』は、無理にボケないという新しいスタンスを、トップ芸人の大悟さんが生み出したことに大きな意味があります。
 

今後はレギュラー放送になっても、大きなトピックスは生み出されないかもしれません。でも、この独特な空気感を感じられるのは『ヤギと大悟』だけで、テレビ東京を代表する長寿番組になることも考えられます。
 

まだ見ていない人、またはテレビ東京が映らない地域の人は、ぜひともTVerで視聴してみることをおすすめします。



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