キーワードは「リスク分散」 新人グループが多数デビューする年に
ゆりこ:今の状況からかろうじて予想できるのはエンタメ企業の「リスク分散思考」が強まるだろうということ。特に大手事務所は数年に一度、厳選された秘蔵っ子のみをデビューさせて、多額のプロモーション費用を注ぎ込むという従来の形から、より短いスパンで複数のグループをどんどんデビューさせていく方向に切り替えるかもしれません。まずファンの反応を見て、中でも芽が出そうなグループに集中投資するなどですね。これは財力とマンパワーのある企業に限られますが。矢野:1つのものに集中的に投資するのではなく、いくつかの対象に、何回かに分けて投資するのはリスク分散の鉄則ですよね。今年はSMエンターテインメント(以下、SM)からaespa以来5年ぶりのガールズグループがデビューするという報道を見ました。HYBE傘下レーベルからも複数デビューが予定されているとか。そして先ほど触れたKick Flip。その他にも出てくる可能性はありますよね。 ゆりこ:SMの新ガールズグループは先日映像がお披露目されました。2月に『Hearts2Hearts』という名前でデビュー予定です。そして、YGエンターテインメントもボーイズグループを準備中という報道があります。大手やその傘下企業から続々新人が出てくる年になりそうです。JYPから傘下レーベル「INNITエンターテインメント」のローンチもありました。アイドル中心ではなく“エンターテイナー”を育てるというコンセプトらしいので、K-POP業界にどこまで食い込んでくるかは未知数ですが、一種のリスク分散のための挑戦ともとらえられます。一方でリスクヘッジとは真逆のアプローチで、かつての防弾少年団(BTS)のように中小事務所が社運をかけて出した渾身のグループが大化けすることもあるなと思っていて。そうなったら面白いな、という希望的観測です。
矢野:新人グループにとっては過酷な時代にも思えます。若くて目新しいから、大手事務所だから、有名プロデューサーが手掛けているからといってヒットは保証されない。新人だからと注目される期間が年々短くなっている気もしています。昨年もデビュー5年目の「aespaの年」と言えるほどでしたし、SEVENTEENも相変わらず強かった! それに年末には G-DRAGONさんまで復活。何といっても今年はBTSメンバーが全員そろうのですから。先輩たちがとても強い。



