2024年ベスト映画を決める前に! 年末の傑作『ソニック × シャドウ』と『型破りな教室』の意外な共通点
「2024年のベスト映画」を決める前に見てほしい、年末公開の『ソニック × シャドウ』と『型破りな教室』を紹介しましょう! 実は意外な共通点もあったのです。(※サムネイル画像出典: (C)2024 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. (C)Pantelion 2.0, LLC)
『型破りな教室』(12月20日より全国順次劇場公開中)
舞台は、犯罪と貧困が日常化した国境近くの小学校。子どもたちの生活は麻薬や殺人と隣り合わせで、教育設備は不足し、教師に意欲もなく、学力は国内最底辺で、半数以上が卒業を危ぶまれる中、新任教師がユニークな授業を始めるとクラス全体の成績は飛躍的に上昇し、そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食いこむ……! そんな
驚きの「実話」を基にしたメキシコ映画 です。
メキシコ本国で300万人を動員し2023年No.1の大ヒットを記録、さらにアメリカでも限定公開かつスペイン語作品にもかかわらず初週5位の快挙を遂げ、Rotten Tomatoesでは現在は批評家支持率96%に一般観客の評価では99%と、既に世界的な名作とされる評価を得ています。
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物語の立ち上がりは、先生が教室の机を救命ボートに見立てて、「どのボートも乗れる人数は同じ、乗れない人はおぼれる、君たちは23人でボートは6つ、さあどうする?」と言うもの。それは単に割り算という「算数」というだけでなく、「浮力」という物理における疑問にもつながり、さらには「哲学」への強い興味を抱かせるきっかけにもなるのです。
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型破りな教師が生徒たちの意識を変えていく様から、日本の漫画およびドラマ『ドラゴン桜』を連想する人や、社会問題を背景に教育に関して本質的な問い掛けがされていることから、インド映画の『きっと、うまくいく』を思い出す人もいるでしょう。生徒たちが自主的に考え、自分の才能や「可能性」にも気付き、これまでとは違う日常に希望を抱く過程には大きな感動と、それ以上に
「学び」そのものの面白さが満ちていました 。
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しかし、やはり問題も立ちはだかります。先生の型破りな授業は周りから問題視され、生徒たちの貧困の問題はどうにもできず、先生はある質問をしてきた生徒に対する選択に迷い、さらにはとある悲劇も起きてしまいます。
「1人の先生の教育だけではどうにもできない」という現実の問題も容赦なく描いている のです。
それでも、生徒たちの好奇心、可能性、才能を解き放つためにした授業と、それぞれがつかみ取った何かは残ります。
安易な解決などないけれど、生徒と先生それぞれが考えた末に出した「答え」 には、観客にもまた自主的に考えさせる力のある、かつてないほどの感動があったのです。
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未成年者のバイクのノーヘルメット運転の描写がみられるという理由でPG12指定がされており、間接的な表現ながら殺人の描写、ごくわずかに性的な言及もありますが、それも作品には必要なものでした。
世界にある子どもの貧困や犯罪やヤングケアラーの問題、教育の在り方を今一度考えたい人にも大いに推薦 します。
意外な共通点は「選択」の物語であること
ここで紹介した『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』と『型破りな教室』はジャンルがまったく異なる映画に思えるところですが、実は一致していることがあります。それは
「どんなことがあっても、選択をする時は訪れる」という事実を示していること です。
大きな後悔が残り続けていたとしても、その時々の選択しだいで未来は大きく変えられる……それは、なんと大きな希望でしょうか……! 年末年始に、ぜひこの2本を優先的に見てほしいです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。