「鏡開き」でやってはいけないこと4選! 包丁を使ってはいけない理由とは?

鏡開きをするタイミングとNG行為、正しい方法について、「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が解説します。

鏡開きはいつやる? 包丁で切ってはいけませんか?
鏡開きはいつやる? 包丁で切ってはいけませんか?
お正月の風物詩である鏡開き。いつ行うのが正しいのか、そしてなぜ包丁で切ってはいけないのか、疑問に思ったことはありませんか?

そんな「鏡開き」について、「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が解説します。
 

(今回の質問)
鏡開きはいつやる? 包丁で切ってはいけませんか?

(回答)
鏡開きは1月11日に行いますが、地域によっては1月15日や20日に行うところもあります。包丁で切ってはいけないとされ、木づちや手で開く(=割る)のが習わしです。

 
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

鏡開きをやるべきタイミング

鏡開きとは、お正月に供えておいた鏡餅を下げて食べる行事です。新年の神様である年神様は鏡餅によりつくとされており、年神様が宿っていた鏡餅を食べて、その力を授かるという意味があります。

鏡開きをするのは、年神様が滞在している期間である「松の内」が過ぎてからです。多くの地域では1月1~7日までが松の内で、11日に鏡開きを行います。地域によっては松の内が1月15日までなので、15日や20日に鏡開きが行われています。

昔は1月15日までが松の内で、20日に鏡開きをしていました。しかし、徳川3代将軍の家光が4月20日に亡くなったため、月命日の20日は忌日とされ、江戸幕府の命で松の内は7日まで、鏡開きは11日とされて広がりました。11日になったのは、武家において、正月に具足(武具や甲冑など)に供えた具足餅を下げて食べる「刃柄(はつか)祝い」が1月11日に行われていたからです。しかし、上方(関西地方)では昔のしきたりを守り続けたため、今でも松の内と鏡開きの日に地域差があるわけです。

鏡開きのNG行為4選!

鏡開きをするときには、やってはいけないことがあります。

・鏡餅を食べずにいること
鏡餅にはよりついた年神様の魂が宿っているとされるため、食べずに処分してはいけません。鏡餅は供えて、下ろし、開いて食べてこそ意義があるのです。 

・「割る」と表現すること
「割る」という表現は縁起が悪いので、末広がりを意味する「開く」を使うようになり、「鏡開き」と言うようになりました。

・包丁などの刃物で切ること
鏡開きは武家から始まった行事なので、切腹につながらないよう刃物で切ることは禁物とされ、木づちや手を使って開くようになりました。

・食べ残したり捨てたりすること
鏡餅には年神様の魂が宿っているとされるため、食べ残したり、捨てたりしてはいけません。小さなかけらも残さず食べましょう。

正しい鏡開きの方法

供えていた鏡餅を下ろし、木づちや手を使って開きます。木づちがなければ金づちでも構いません。鏡開きの頃には、鏡餅は乾燥してヒビが入っているので、木づちや手で開けると思います。

うまく開けない場合には、水に半日ほどつけておいてから、電子レンジで八分どおりやわらかくして、手でちぎるとよいでしょう。

開いた餅は、お雑煮、お汁粉、かき餅にして食べるのが定番ですが、餅ピザなどのアレンジレシピで食べてもおいしいです。残さず食べて、よい年にしたいですね。
 

この記事の筆者:三浦 康子
和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。著書、監修書多数。

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