そんな破魔矢について、「All About」暮らしの歳時記ガイドの三浦康子が解説します。
(今回の質問)
破魔矢の処分方法は? 自宅で捨ててもいいですか?
(回答)
破魔矢は授与された社寺に返しておたき上げするのが基本ですが、自宅でゴミに出すこともできます。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
そもそも「破魔矢」とは?
まず破魔矢について知っておくと、処分の仕方を決めやすくなるでしょう。破魔矢とは、魔除けをするための矢のことをいいます。破魔矢を放つための弓を破魔弓といい、破魔弓と破魔矢がセットになっていることもあります。本来、弓矢は武器ですが、魔をはらう力もあると信じられていました。そのため、各地で弓を射る祭礼がみられます。最も古いのが正月に行われていた神事だったため、1年の魔除けをして幸運を射止める縁起物として、初詣で授与されるようになりました。
また、男の子の初正月や初節句に破魔矢を買って飾る風習もあります。こちらは健やかな成長を願うためのものなので、1年の魔除けをする破魔矢とは性格が異なります(本記事では1年の魔除けをする破魔矢について説明します)。
破魔矢を処分するタイミング
初詣で授与された破魔矢はその年のお守りなので、翌年には社寺に返納します。毎年初詣で前年の破魔矢を返納し、新年の破魔矢をいただく人が多いようです。社寺では1月15日ごろに行う左義長(どんど焼き)でおたき上げをするので、その日までが返納する目安になります。間に合わなかった場合には、後日返納したり、自宅でゴミに出したりすることもできます。
正しい処分方法
基本的には、破魔矢を授与された社寺に返納します。古いお守りなどを納める「納札所」などがあればそちらへ、なければ社務所などに申し出ると受け取ってくださいます。1月15日ごろに行われる左義長(どんど焼き)でおたき上げをする社寺が多いので、その日までがお返しする目安になりますが、年中受け取ってくださるところが多いです。授与された社寺に返納できない場合には、ほかの社寺でも構いませんが、神社のものは神社へ、お寺のものはお寺へ納めるようにするとよいでしょう。
また、田んぼや河原などで左義長(どんど焼き)を行っている地域では、会場や指定された集積所に持ち込んで焼いてもらいます。地域の掲示板などで告知されるので、詳細を確認してください。
一般ゴミとして処分してもいい?
一般ゴミとして出すこともできます。自治体のルールに従って分別して出しましょう。そのままゴミに出すのは心苦しいという人は、「塩をふって清める」「半紙など白い紙に包む」「ほかのゴミと一緒に入れない」などを行うと、感謝の心が表わせます。
この記事の筆者:三浦 康子
和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。著書、監修書多数。