マッチングアプリで真剣な出会いを求めている女性にとって、遊び目的でアプリを使う男性は天敵だ。今回は取材を基に、アプリに潜む危険な男性の特徴をLINEの事例付きで考察する。
LINEで「名前がローマ字一文字」「アイコン未設定」なら要注意?
マッチングアプリで連絡を重ね、やりとりの場をLINEへと移行するタイミングは「会う約束をした後」もしくは「はじめて会った日」が多い。Mさん(32歳)も、アプリでマッチングした男性と何度かメッセージを重ね、会う約束をした後、LINEを交換した。
以下はMさんからの話を基に作成したMさんと男性とのLINE上のやりとりだ。
次の日、ユウキさんと会ったMさんだが、食事の間に互いのプライベートな話はほとんどしなかったという。
「渋谷のお店で軽く食事をした後、すぐに『この後どうする?』と体の関係を持ち掛けられました」
アプリで真剣な出会いを求めていたMさんは、ユウキさんの誘いを断り、即帰宅。帰りの電車でアプリを開いてみると、ユウキさんも“オンライン状態”だった。ユウキさんはMさんに最後まで自身の本名を明かすことはなかったという。
Mさんは「ユウキさんは完全に“ヤリモク”だったと思う」と語る。筆者がアラサー世代への取材を続けていると、ユウキさんのような男性に遭遇した経験がある女性は多い。
こういった男性に共通しているのは、「収入や学歴、容姿などアプリでのプロフィールが魅力的
」「メッセージのやりとりが慣れていてスムーズ」 という特徴である。一見、魅力的な男性ほど、実は……というケースも多いのだ。
それに加え、アプリからLINEに移行した際、
①アイコンが未設定
②名前が「Y」や「あ」など、ローマ字やひらがなの一文字
という点も、危険な男性の特徴としてよく挙げられる。身元が特定されにくいプロフィール情報にすることで、自身のパーソナルな部分を知られることなく遊ぶことができるからだ。
興奮気味で誤字だらけ、追いLINEで「おーい」
軽い遊び目的でアプリを使う人がいる一方で、“重過ぎる人”に遭遇する人もいる。「相手の男性は真剣な出会いを求めている……と言っていたのですが、私的にはナシでした」
こう語るのは20代女性のBさんだ。彼女はアプリでマッチングした男性とデートしたものの、会話が弾むことなく解散。「次はない」と思っていたBさんだが、相手の男性はそうは思っていなかったようだ。
男性は立て続けにBさんにLINEを送信する。勢いで送ったことが分かる文面で、誤字もある。
何度も日程を調整してくる男性に対し、Bさんが明確に断ることはなかった。
男性はめげずにBさんに対してアタックするが、最終的にBさんは男性をブロック。これで関係が終わったと思ったが……その後、男性はBさんのSNSを見つけて、長文のDMをしてきたという。ニックネームで登録していたBさんのSNSを、男性がどのように探し当てたのかは不明だ。
「本名以外の個人情報を伝えていなくてよかったと思いました」とBさんは話す。
気軽さが利点でもあるアプリでの出会いでは、「重いやりとり」は好まれない。今回のBさんのケースのように、“明確なお断り”をせず、LINEをブロックしたり、デートをドタキャンしたりして、関係性がグレーのまま終わるケースも多いのだ。
気軽に“真剣”な出会い。マッチングアプリが抱える矛盾
2024年11月に明治安田生命が発表した「いい夫婦の日」の調査によると、1年以内に結婚した人たちの出会いのトップは「マッチングアプリ(29.8%)」だった。今や、結婚にはマッチングアプリが必須の時代なのである。アプリは婚活をしているアラサーにとって必須の婚活ツールとなりつつあるが、その気軽さゆえ、上記のような遊び目的の男性に遭遇するケースも多い。一方で、気軽に出会えるにもかかわらず、真剣な出会いを求める人も多いという矛盾をはらむアプリでは、Bさんが遭遇したような粘着質な男性も一定数存在するようだ。
LINEのアイコンやメッセージは、アプリのプロフィールやメッセージでは分からない相手のパーソナルな部分をあぶり出す。LINEの交換時やメッセージに違和感があるなら、早めに見切りをつけ、次の相手に向かいたいものだ。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。