このタイミングで『1122 いいふうふ』を一気見してどハマりした筆者が、作品の魅力を5つに分けて紹介すると共に、劇中の物語とリンクするように(あるいは正反対の要素をもって?)現実の2人の結婚生活を想像したくなる理由、そして共通する要素を持つ岡田将生主演の最新映画を紹介しましょう。
2024年は映画『ゴールド・ボーイ』『ラストマイル』に続き、岡田将生の俳優としての力がはっきりと分かる、エンタメ性抜群かつ社会派の一面もある作品が続々と世に送りだされていることを知ってほしいのです。
1:「公認不倫」をしている夫婦の物語
『1122 いいふうふ』の主人公2人は、友達のように何でも話せて仲のいい夫婦でありながら、秘密を抱えています。それは「毎月第3木曜日の夜、夫が恋人と過ごすことを許可している」ということ。つまりは「公認不倫」であり、それだけ取り上げるとギョッとして拒否反応を覚えてしまう人もいるかもしれません。性的な話題も多く、かなり大人向けの内容でもあります。しかしながら、その公認不倫について互いに「ルール」や「正当性」を会話で示し、時には「矛盾」や「罪悪感」をモノローグで語る場面もしっかりあるため、過度の嫌悪感を抱かず、それどころか「その気持ち、分かる!」と(でも「客観的にはやっぱりよくないんじゃ……」とやや居心地の悪さも同時に覚えつつ)共感できるように、見事な調整がされている作品だと思えました。
2:主人公2人ともがチャーミングで憎めない
原作漫画を読むと、繊細な絵柄もあってか、全体的にはクールな印象なのが魅力的だったのですが、ドラマでは主演2人のチャーミングさのおかげで、原作からある会話やモノローグがより親しみやすいバランスに。やりとりを見ているだけで楽しい内容でした。例えば、高畑充希演じる「一子(いちこ)」は「切なげにロマンティックに(不倫を)語るよなあ、男は」などとシニカルな目線でいて、別の場面では「これが、ブーメラン(批判が自分に返ってくること)ってやつですか」「(風俗店に行って)若い女の子にデレデレしているおじさんをバカにしていたけど、ごめんなさい。わかりました」と思ったりもします。
それぞれの言葉選びはもちろん、高畑充希の演技や声のトーンの「斜に構えた」「サバサバした感じ」も含めて面白いのです。その赤裸々ぶりは女性からの共感を呼ぶでしょうし、男性が見れば「なるほど、そうかそうなのか……」とパートナーの心情を考えるきっかけになるでしょう。 一方で岡田将生演じる「二也(おとや)」は、基本的には一子を傷つけないように気遣っており、家事も含めて十分なサポートをしているよき夫のようにも見えますが、優柔不断なところが多く、そもそも公認不倫を提案されてあっさりと応じてしまっているなど、客観的には褒められたものではない立場です。
一子から「るんるんオーラダダ漏れ」と言われるのも納得な無邪気さが面白いのですが、とある場面で「えっ? あれ、もしかして俺、クズなのでは?」と気づく場面には「本当だよ!」と思いましたし、その後、物理的にも痛い目をみる様には思わず大笑いしてしまいました。岡田将生というその人のイメージはもちろん、演技も相まって原作漫画よりも「天然」かつどうしても憎めないキャラクターになっているのです。