まさに万人向けな『アングリースクワッド』の魅力
ドラマ『1122 いいふうふ』にどハマりしたため、そちらの話が長くなってしまいましたが、岡田将生が主演を務めた映画の最新作も激推しします。それが、くしくも11月22日(いい夫婦の日)より劇場公開中の『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』です。注目は『カメラを止めるな!』で一世を風靡(ふうび)し、現在はTikTokのショートドラマでも話題を集める上田慎一郎監督最新作であること。
韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』の前半6話あたりまでを下敷きにした「原作あり」の作品でありながらも、クセが強めなキャラクターの掛け合いなど、上田監督らしい作家性が生かされた映画に。さらに、上田監督が大好きな映画『オーシャンズ11』や『スティング』のようなケイパー(チーム強奪)ものの面白さがテンポよく詰まっており、かつ意外な展開への説得力も大いにあります。このジャンルの中でもトップレベルに面白いと断言できる、万人に文句なしにおすすめできる内容になっていました。
また、(やっていることは詐欺という犯罪でも)極めて真っ当に「権力を盾にした不正への怒り」を描いた作品でもあります。昨今の世界や日本にある問題に対しての徒労感を覚えた人は多いでしょうが、「そんなものは間違っている!」と怒りを持って強烈な「カウンター」を繰り出したことに、単なる荒唐無稽なエンタメ以上の意義も感じるのです。
やはり「クズかと思ったら憎めない」岡田将生
そんな『アングリースクワッド』で岡田将生が演じるのは、初めこそひょうひょうとした印象がある詐欺師でありながらも、後半の言葉の端々からその内面が見えてくる、という役柄です。『1122 いいふうふ』にも通ずる、「表面的にはクズともいっていいはずなのに、どこかチャーミングで憎めない」印象は、やはり岡田将生というその人のイメージおよび演技も大きく関わっているなのだと改めて思い知らされました。 もう1人の主人公、税務署に務める真面目で気弱な中間管理職の公務員を演じるのは内野聖陽。詐欺などしたことがないはずの彼がチームの一員として努力をし、だます立場として成長していく様が面白く、岡田将生との掛け合いと関係は、ドライなようでいて特別なものに見えてきて、なんとも見ていて気持ちがよいのです。 そんな風に「岡田将生とパートナーになり共に成長していく」ことが共通している『1122 いいふうふ』と『アングリースクワッド』はぜひセットでご覧いただきたいですし、やっぱり「こいつ、クズかと思っていたけど、憎めないな!」という気持ちも含めて、ぜひ岡田将生という俳優(演じるキャラクター)の魅力を味わい尽くしてほしいです。この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。