5:今泉力哉&かおり夫妻という最高の人選
そんな“めんどくさい夫婦関係”を描く作品の実写ドラマ版の監督が、『愛がなんだ』『窓辺にて』などでまさに“めんどくさい恋愛”を描く名手の今泉力哉監督。さらに脚本を妻の今泉かおりが執筆したというのは、「最高の人選」としか言いようがありません。「CINEMORE」のインタビューで、今泉監督は「僕からは、こうしたいとか、ああしたいとか特に何の指示もしてないです。まず好きに書いてもらって、そこから調整していく感じ」と語っており、今泉かおりも「セリフにはこだわりがあると前々から言っていたので、語尾とかはそっちで好きに調整して、と伝えました」とコメント。「対立しない」脚本と映像化のアプローチは、夫婦という間柄ならではの自然なやりとりであると思えましたし、それは劇中の夫婦の関係にもリンクしているようでした。
それでいて、今泉かおりは「(原作者の)渡辺ペコ先生もセリフにすごくこだわりのある方だと思ったので、あまり原作から変えずに書き進めました」と語っており、今泉監督も「他の脚本家さんとやるときも、手を入れさせてもらえるかどうかは最初にちゃんと許可を取ります」と、原作への誠実な姿勢とリスペクトを汲み取ることができましたし、それはできあがった本編からも感じられました。ある程度の自由さがある尺で、丁寧に描けた配信ドラマだからこそ、満足度と完成度の高い内容になったのでしょう。
まとめ:現実の岡田将生と高畑充希も、きっと大丈夫
『1122 いいふうふ』は、穏当で理想的とは言い難い、夫婦のいざこざも描かれている作品なだけに、現実の岡田将生と高畑充希も同じような感じになってしまったらどうしよう……とよからぬ想像もしてしまうのですが(ごめんなさい)、同時に「この作品を通して2人が交際を始めたのなら、きっと大丈夫!」と心から安心するところもありました。何しろ、『1122 いいふうふ』は「どんな経験や感情や選択も、自分の糧(かて)になる」ことを教えてくれる作品でもあるからです。この作品の視聴者も、もちろん作品に真剣に向き合った主演の岡田将生と高畑充希の2人も、そのことを踏まえれば、この先にどんなことがあっても前向きに生きていける……そんな希望も得られるでしょうから。