#41のテーマはRIIZEのメンバー脱退ニュースと、SNS上でも議論になっている「葬儀用の花輪」を使った抗議活動について。ファンダムの力が大きくなった今だからこそ心にとめておきたい、アイドルの人権問題についても考えていきます。
【前回の記事「デビュー15周年、再結成する今こそ聞いてほしい「2NE1」の名曲」(#40)はこちら】
活動再開発表からわずか2日で衝撃の展開に
編集担当・矢野(以下、矢野):RIIZEのメンバー脱退のニュースには驚きました。活動を自粛していたスンハンさんがようやく戻ってくる! と思ったら2日後に脱退を発表。こんなこと、あるんですか!?
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):K-POP史上、類いまれなる事態だと思います。大手事務所の名の知れたグループが一度出した大きな決断をたった2日で覆した。しかも即脱退というのは記憶にないです。重犯罪に関わっていたなら話は別ですが。
矢野:そもそもスンハンさんが自粛した理由は私生活のスキャンダルだと聞きました。アイドルとして決して褒められたものではないものの、10カ月間で禊(みそぎ)は済んだように感じたんです。でも、その感覚は人それぞれだということも理解しています。
ゆりこ:受け取り方は本当に意見が分かれるところです。まず私のスタンスをお話ししておきますと、来日公演・イベントにほぼ参加しているBRIIZE(RIIZEファン)で、スンハンさんがいた当初からグループを応援しています。その上で今回のスンハンさんの復帰を知ったときの正直な本音は「おおー、戻ってくるんだ!」でした。
矢野:その裏にあるのは喜びですか? それとも戸惑い?
ゆりこ:驚きが8割です。実は、もう戻ってこない気がしていました。先輩グループNCTの中国人メンバーが私生活のスキャンダルで約2年間活動を自粛したのち、脱退した例があったからです。だからスンハンさんも同じ道をたどるのでは? と予想していました。残りは期待とほんの少しの不安。
矢野:やはり不安というのは反発の声が上がるであろうことや、メンバーとの格差でしょうか。この10カ月でRIIZEはだいぶ前進していますし。
ゆりこ:はい。喜ばしい反面、不安視する意見が出ていたのも理解できます。ただ長い目で見れば、彼の復帰がグループにとってさらなる起爆剤になる可能性も大いにあった。まだRIIZEは始まったばかりですから。でも想定以上に反発の声が上がってしまった。あくまで私が見聞きした範囲内ですが、日韓でもファンの温度差があったようで、韓国のほうが拒否反応を示す声が目立っていた印象です。
矢野:背景にはファン層の違いなどもあるのでしょうか。
ゆりこ:最近では韓国でもアイドルを追う大人が増えましたが、一昔前なら大学生、社会人になったら“卒業するもの”でした。今でも日本より韓国のほうがファンの平均年齢が低い傾向にあります。気になって韓国にいるK-POP好きの友人にも意見を聞いてみたんです。そうしたら同じ教会に通う10代のBRIIZEたちは総じて「復帰反対派」だったそうです。若ければ若いほど受け入れ難かったのかもしれない。
矢野:そして今の6人体制になってからファンになった人も大勢います。さらに好きなメンバーに夢中になっていると「彼(ら)の活動に水を差さないで!」という気持ちになることもあるでしょう。
ゆりこ:過去の自分を振り返っても、そういった気持ちになることは理解できますし、経験もあります。一方で超えてはいけないラインもあると思いました。実は今日の本題はここから。K-POPアイドルへの抗議活動、「いじめ」になっていませんか? ということです。