「お試し期間」ならではの雰囲気
今回は、その後の所用もあり吉祥寺駅で下車した。筆者以外にも大勢降り、入れ替わるように多数の人々が乗り込んだ。午前で授業が終わった小学生や中高生の姿もある。お試し期間で無料なので、本来ならグリーン車には無縁と思われる人たちもゆったりした乗車を体験しているようだ。 「お試し期間」なので、車内でもWi-Fiは使えず、トイレやゴミ箱も閉鎖されている。アテンダントさんも乗車していないので、グリーン車特有のサービスも受けられない。まだまだグリーン車連結の12両編成は少ないので、しばらくは車内もホームもザワザワした雰囲気だが、次第に落ち着いていくだろう。「お試し期間」が終わり、本格営業が始まるのを待ちたい。そうなると、ごく短距離の利用は減り、遠方への乗車が主流となるのであろう。
特急と快速電車グリーン車の比較、おトクな利用法
中央線には特急「あずさ」「かいじ」も走り、区間によってはグリーン車の方が割高になる場合も出てくる。ただ、特急の恩恵を受けられない駅の通勤客や所用客、高尾以遠や青梅方面への行楽客の需要もありそうなので、グリーン車を使った日帰り旅行などさまざまな利用方法が出てくると思われる。なお、2階建てグリーン車の運転区間は、東京~高尾~大月あるいは東京~立川~青梅である(途中駅での折り返し列車あり)。東海道線、横須賀線などと同様、紙のきっぷよりもSuicaグリーン料金の方が安くなるし、JRE POINTを貯めれば600ポイントで利用できる。乗車の目的や状況に応じてグリーン車や普通車を使い分けたい。
この記事の執筆者:野田 隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。