東京駅からグリーン車に乗車してみた
グリーン車連結開始の5日目(10月17日)のお昼前、東京駅の中央線ホームに出た。沿線の人身事故の影響で列車ダイヤが乱れてはいたが、JR東日本アプリをチェックすると15分ほどでグリーン車を連結した編成が到着するという。 4号車(グリーン車)乗車口には数人が待機していたので、その列に加わった。やがて、電車が1番線に到着。降りる客が途切れたところで車内へ。ところが、座席周辺でウロウロしていた乗客が慌てて降りようと逆らうようにやってきたので少々混乱した。ドアは広くなったものの、2階席からドアへ続く階段は狭いままなので、すれ違いには無理が生じる。降車客をスムーズに誘導しないことには、ドアを広げるだけでは解決しない。
「お試し期間」中は、自慢の自動座席回転装置は働かない。自分で座席下にあるペダルを踏んで進行方向に向きを変えて窓側に着席した。どの席も窓側は満席のようだが、通路側は空席が目立つ。筆者の隣も東京駅発車時は無人のままだ。 座席の肘(ひじ)掛け先端にコンセントがあったので、スマホの充電を行う。横須賀線・総武快速線の新型車両(E235系)グリーン車以外は電源コンセントがないので、これはありがたい。
前の座席背面にあるテーブルを降ろして持参した軽食を並べてランチタイムとした。同じ座席背面の下方にはドリンクホルダーもあるので、ペットボトルも置ける。列車の揺れで転倒しないのは安心だ。
眺望抜群の2階席
静かに東京駅を発車。中央線ホームは他の路線よりも一段高いところを走っているが、2階建て車両はさらに高いので、車窓の見晴らしはすこぶるよい。すぐに東京駅に到着する中央線の電車とすれ違ったが、向こうの電車の屋根が視界を遮る。それだけ高いところに座っている証左だ。 神田を出て左にカーブすると旧万世橋駅跡にできた商業施設を通過。総武線の高架橋が近づいてくると御茶ノ水駅である。上から見下ろすとホームの人たちがグリーン車を避けるように左右に移動していく。グリーン車付きの12両編成とグリーン車なしの10両編成が混在しているため、普通車を待っていたら、グリーン車が停車して目の前にドアがないため、急いでドアのある位置に向かったようだ。中にはグリーン車は有料だと思い込んでいて、離れたところに停車した普通車両のドアまで駆け出していった人もいるようだ。58編成もの膨大な中央線快速用の車両にグリーン車を組み込む作業は相当の時間がかかる模様だ。こうした混乱はしばらく続きそうである。 飯田橋駅を通過すると右手に外堀が見えてくる。春は桜の名所となるので、来春からはグリーン車からのお花見も楽しめそうだ。
四ツ谷駅に停車した後は、御所トンネルを抜け、新宿御苑の脇を走る。新宿駅では降りる人もいたが、それ以上に多くの人が乗ってきて、筆者の隣にも会社員風の人が腰を下ろした。特に鉄道ファンというわけでもなさそうで、車内や車窓を見渡すこともなく、一心不乱にスマホを操作している。運行開始日は、いかにも鉄道マニアと思われる若者で大混雑だったようだが、平日ということもあり、一般の利用者が増えたようだ。 新宿を出て、東中野を通過すると立川までほぼ一直線に延びる区間に入る。解体を待つばかりの中野サンプラザの特徴ある建物が見え、中野を発車すると、高架複々線区間を快走……と言いたいけれど、特快ではないので、高円寺、阿佐ヶ谷と丹念に停車していく。住宅地なので、高層ビルは少なくなり、視界は広がる。