ヒナタカの雑食系映画論 第128回

アニメ映画『ふれる。』で“20歳の青年”を主人公にした意味は? 挑戦的かつ優しい3つのポイントを解説

アニメ映画『ふれる。』は、脚本家・岡田麿里らしい、辛らつのようで実は優しい、コミュニケーションの物語がつづられた作品でした。思春期の少年少女ではない20歳の青年たちを主人公にした意味も含めて、見どころを解説しましょう。(※サムネイル画像出典(C) 2024 FURERU PROJECT)

ふれる。
オリジナル長編アニメーション映画『ふれる。』 10月4日(金)全国ロードショー 配給:東宝 アニプレックス (C) 2024 FURERU PROJECT
10月4日より『ふれる。』が公開されます。本作はテレビアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビほか、以下『あの花』)の監督である長井龍雪、脚本家の岡田麿里、キャラクターデザインを務める田中将賀のトリオが送り出すオリジナル企画のアニメの第4弾です。

後述するように「攻めている」ほどの特徴を持ちながらも、特に脚本を務めた岡田麿里の資質がストレートに打ち出された青春恋愛劇であり、メッセージはとても優しく、高校生や大学生など、「これから大人になる、今にまさになろうとしている」若者にこそ見てほしいと、心から願える作品でした。 
 

落ち着いたドラマ展開する内容ながら、「4DX」上映の実施にも納得?

『ふれる。』の内容は、基本的に「コミュニケーション」に焦点を当てた落ち着きのあるドラマですが、実写ではなくアニメで描くからこそ意義のあるシーンもあり、終盤には劇場のスクリーンで映える大見せ場もありました。なるほど、座席の振動などの演出が楽しめる「4DX」上映が実施されることにも納得できます。

さらに、実写映画版『ちはやふる』でも音楽を担当した横山克と、歌手・Adoによる楽曲『踊』の共同作曲・編曲などで知られるTeddyLoidが手掛けた流麗な音楽に、ぜひ劇場で聞き入ってほしいです。

では、同作の見どころを三つのポイントに分けて解説していきましょう。
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主人公3人は20歳の青年
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