JR青梅線「拝島駅」には何がある? 米軍基地だけじゃない、多摩川&玉川上水のある自然の街。石川酒造も

JR青梅線内で、立川駅と青梅駅のほぼ中間にあたる「拝島(はいじま)駅」。在日米軍横田基地の南端に近い場所にあり、牛浜駅や福生駅周辺とも並んで「基地の街」という印象を持たれがちですが、駅を降りた先の街中には何があるのでしょうか。

拝島駅について、「拝島≒横田」「拝島に行く用事は毎年の日米友好祭だけ」という印象を持つ人もいるのではないでしょうか。

東京都西部の多摩地域に広く横たわり、在日米軍と航空自衛隊が使用している横田基地。その横田で毎年開催される「日米友好祭(フレンドシップ・フェスティバル)」へと向かう際、最寄りの牛浜駅が混雑することを避けるため、代わりに利用をすすめられるのが拝島駅です。

駅周辺の街並み自体は、豊かで安らかな風景。有名な日本酒「多満自慢(たまじまん)」の石川酒造もあるなど、基地だけではない見どころもある街ですよ。

駅の基本情報:家賃相場はいくら?

拝島の写真
拝島(画像は筆者撮影、以下同)
東京都の福生市、昭島市の境目にある拝島駅はJRと西武鉄道の複数路線が乗り入れており、貨物利用もあるなど、実は東京西部で立川や八王子に次ぐターミナル駅! JR青梅線では西の青梅・奥多摩方向と東の立川方向に行けるほか、青梅線の一部電車は拝島駅でJR五日市(いつかいち)線に接続し、秋川渓谷のある武蔵五日市駅の方向に向かいます。

また、JR八高線は北に行くと埼玉県の高麗川(こまがわ)駅や、JR川越線の川越駅まで直通。八王子駅にも立川を迂回(うかい)することなく、八高線1本ですぐに行けます。他にも西武拝島線西武新宿線に接続)で小平駅や田無駅へ電車1本でアクセス可能であるなど、都内西部や埼玉県を巡る上では極めて便利な駅なのです。

家賃相場は駅徒歩10分以内、築年数10年以内でワンルームが約6.1万円、1LDK約7.5万円(SUUMO、2024年9月25日確認)。隣の昭島駅に比べると若干安めながら、それでも青梅線全体では比較的高い方。前述の電車交通のよさを反映した相場なのでしょうか。
 

拝島という名前は、もともと近くの多摩川で「」のような中州に大日如来観音像が流れ着き、観音様を地域の住民がありがたく「」んだ故事に由来するそうです。

拝島は「水辺」と関わりが深い街

拝島の写真
駅舎を出るとすぐ住宅街に広がり、やや殺風景な拝島駅の北側
拝島駅は、そこそこの規模があるターミナル駅らしく、直方体のスマートな見た目です。
拝島の写真
拝島駅周辺は大きめのショッピング施設が乏しいので、こうした駅ナカが便利
拝島駅の構内は「Dila(ディラ)拝島」という、ちょっとした駅ナカのショッピングモールになっています。店舗は「吉野家」「ミスタードーナツなどのイートイン店舗にコンビニ、書店、スイーツ店、ドラッグストアなど。拝島駅での乗り降りだけでなく、路線乗り換え時のちょっとした食事や買い物に便利そうです。
拝島の写真
ステンドグラスは2面あり。水の流れに福生市の夏の風物詩「福生七夕まつり」モチーフを合わせています
北口(東側)と南口(西側)をつなぐ自由道路部分にある、ステンドグラスのパブリックアートが目を惹きます。芸術家ルイ・フランセンが手掛けたもので、タイトルは『美しい水の流れ、吹き渡る風に夢を乗せて FUSSA』。この「美しい水の流れ」というのが、拝島散策の上でポイントになります。

玉川上水沿いの緑道。あちこちで歴史探訪できる

拝島の写真
拝島駅近くから玉川上水を撮影。この近辺でも水が澄んでいるのが分かります
駅北口を出てすぐの場所にあるのが、「玉川上水」沿いの緑道。この上水は17世紀半ば、江戸市中へ良質で豊かな水量を引き込むべく、玉川兄弟が普段の努力・苦闘の末に開発したことで知られています。
拝島の写真
東京駅から1時間前後の拝島駅周辺で、こうしたのどかな景観を見られます
玉川上水は現在の東京都羽村市から新宿区四谷まで流れ、一部区間は何と令和でも現役。また、玉川上水の上流は澄んで豊かな水と、それに育まれた植生や生態系があり、ちょっとした散策や自然観察にもぴったりです。
拝島の写真
拝島分水取水口を撮影
その途中には幾つもの分水があり、その1つである拝島分水の取水口も外に見える形で現存。江戸時代、この近辺にあった宿場町「拝島宿」での生活用水に使われたそうです。
拝島の写真
平和橋が作られた経緯は、橋のたもとにある石碑(写真中央の物)に説明が書かれています
取水口の近くにある「平和橋」は、昭和中期に地元有志の人々が寄贈した橋とのこと。玉川上水緑道は江戸時代までの拝島の姿が感じられますが、一方で「平和」橋というネーミングからは、「基地の街」としての近現代の拝島が見て取れます。
拝島の写真
橋からも歴史が感じられる街
平和橋を渡らずに左折して、少し歩いた場所にあるのが「日光橋」。1891年に作られたレンガ造りのアーチ橋を、さらに1950年に拡張工事したもので、橋の下をよく見ると明治期のレンガが露出しています。拝島はあちこちで歴史探訪できる街のようです。
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