JR青梅線「拝島駅」には何がある? 米軍基地だけじゃない、多摩川&玉川上水のある自然の街。石川酒造も
JR青梅線内で、立川駅と青梅駅のほぼ中間にあたる「拝島(はいじま)駅」。在日米軍横田基地の南端に近い場所にあり、牛浜駅や福生駅周辺とも並んで「基地の街」という印象を持たれがちですが、駅を降りた先の街中には何があるのでしょうか。
水喰土公園〜日光橋公園の遊歩道は夏でも快適!
国道16号沿いの散策は途中で切り上げ、「
水喰土(みずくらいど)公園」へ。
このネーミングは江戸時代の玉川上水開削工事に由来しています。玉川兄弟が最初の堀を完成させて水を通したところ、この近辺で流水が「土に喰われる」かのように地面に吸い込まれ消滅し、工事は失敗。この地盤層が、当時の工事関係者から「みずくらいど」と呼ばれ、恐れられたそうです。
工事失敗と「みずくらいど」にも果敢に立ち向かい、江戸市中まで上水を通してみせた玉川兄弟ですが、当初の失敗した堀は園内に福生市指定史跡「
玉川上水開削工事跡」として残されています。ただし、その石碑と説明看板は園内でも木々や雑草がかなり鬱蒼(うっそう)と生いしげった場所にあるため、見学に行くのは草木の枯れる秋冬〜春先が最適。雑草がピークになる真夏〜初秋は正直おすすめしません……。
すぐ引き返せばよかったのですが、石碑脇の小道に興味を覚えて先へ進んでしまったのが失敗でした。2024年の猛暑エネルギーでたくましく繁殖した雑草をかき分け、デカデカと張り巡らされたクモの巣の下をくぐり、「出口どこ!?」と虫の影におびえながらさまようこと、約10分。
なんとか拝島駅へとリターンできる遊歩道を発見し、ひと安心。
何とも物静かな雰囲気です。
取材当日は30度弱で日差しが強く、夏がぶり返したかのように暑い日でしたが、玉川上水沿いの遊歩道は木の陰と水辺のマイナスイオンを浴びて、涼しく快適。夏場の散歩にはよさそうです。
東京都内でも福生〜昭島エリアはとりわけ水質がいいことで知られています。拝島近辺の玉川上水も例外ではなく、水面下の所々にはきれいな水草が生育し、清流を好む
ハグロトンボ(東京都の絶滅危惧種)の姿も見られました。
カルガモの親子が泳ぐ姿もあり、遊歩道は野鳥や昆虫にとっても快適なすみかのようです。
また、遊歩道がJR八高線の下をくぐるスポットも。タイミングが合えば玉川上水・遊歩道の緑・八高線の列車を1度に撮影できそう。
遊歩道をしばらく進んだ先にあるのは、拝島駅にほど近い「
玉川上水緑地日光橋公園」。子ども向けの遊具も整備されており、自然散策というよりレクリエーションの場という雰囲気でした。
日光橋公園の上を国道16号(武蔵野橋)がまたいでいます。公園近くの階段から橋上に出ると、秋雲が群島のように散らばる青空が広がっていました。気温はいまだ高くとも、季節は確実に秋へ向かっているようです。
南口ロータリーから「石川酒造」へ
武蔵野橋をまたいで階段を降りると、すぐ近くに拝島駅南口の商店街があります。いかにも小さな街の小さな商店街といった雰囲気ながら、シャッター街といった寂れた様子はなく、夜にもなれば居酒屋や飲食店などはそれなりににぎわうようです。
駅南口からロータリーと西側の風景は、なかなかに開放的。この近辺の地形は駅周辺から多摩川へと緩やかな傾斜になっており、ロータリーからでもかなり遠方の街並みや山々が見られます。
駅前商店街のあちこちにあるのが、福生の酒造「
石川酒造」の日本酒ブランド「
多満自慢」の字。
拝島駅南口のすぐ近くにある、多摩地域特産品のセレクトショップ「
たまてばこ」でも、「多満自慢」をはじめグッズなどを数多く取り扱っています。店内は清潔に整えられており、コーヒーやクラフトビールなどを注文できるイートイン席も完備されています。
駅南口の東側にあるのは「
五鉄通り」。戦前に立川〜拝島間を通っていた路線「
五日市鉄道」が、太平洋戦争中に金属供出のため「不要不急線」として廃止され、その跡地が遊歩道として整備されたものです。
今では鉄道時代の名残は一部のモニュメントや立て看板、あとは遊歩道全体の緩やかなカーブのみ。遊歩道に沿って駐輪場や飲食店があるなど、地域住民の憩いの場となっています。
拝島駅南口のロータリーから出発し、東京都道7号の杉並あきる野線に沿って西方向へ歩くこと十数分。東京都産の日本酒として有名なブランド「多満自慢」を製造する酒造「石川酒造」の施設に到着しました!