なぜパリ五輪会場のトイレには「便座」がなかったのか。日本と異なる、フランスの「衝撃トイレ事情」
パリ五輪の開催も相まって、世界中から観光客が集まるパリ。しかし、トイレ事情は日本と全く異なります。パリで暮らす筆者が見た「衝撃の事実」をご紹介します!
日本のトイレに慣れていると、パリのトイレ事情に衝撃を受けることがあります。数も少なく、見つけるのにひと苦労。フランスにはコンビニがないため、トイレを探しにあちこち歩き回る必要があるのです。
しかしようやく見つけた先で待っているのは、「トイレットペーパーがない」「便座がない」「有料!」といった驚きの光景です。公衆トイレは無料で使えますが、日本とはかなり構造が違うため戸惑ってしまいます。
使用後は“丸洗い”の公衆トイレ。床は毎回「水浸し」
パリ市内には約750の公衆トイレがあります。ただ、定員は1人のみ。男女共用で、基本的には24時間使用可能かつ無料です。トイレットペーパーはありますが、たまに切れていることもあるので先に確認が必要です。
ドアを開けるには、トイレの外にあるボタンを押さなければいけません。押すと、自動でドアが開閉します。しかし、ボタン下にあるランプに注意! 色によって使用可能かどうか、分かる仕組みになっています。「青」のランプが点灯しているときは、「LAVAGE(洗浄中)」という意味です。
では「LAVAGE(洗浄中)」とは何でしょうか。実はパリの公衆トイレは、使用後に便器も、床も含めてトイレが「丸ごと」洗浄されます。つまり、床は毎回水浸しになってしまうということ。一応、乾燥まではしてくれるのですが、時間にして10~15分は待たなければいけません。
パリ市は五輪を機に、市内約半分の公衆トイレを最新のものに交換したそうです。現在は水と電気の使用量を減らした「環境にやさしい」公衆トイレに交換されていますが、清潔感においては疑問が残るといえるでしょう。
地元フランス人はどこを利用するのか
では、現地の人は急ぎの時にどこでトイレを利用しているのでしょうか。多いのは、「コーヒー代を払ってカフェを利用する」という使い方です。実際に、フランス在住歴6年の筆者も、最も利用するのがカフェのトイレ。1杯2.5~3ユーロ(約400~480円)のコーヒー代を払って、落ち着いた状態でトイレに向かいます。
清潔度は普通か、普通以下。というのも、フランスにはウォシュレットがありませんし、日本のようにこまめに掃除する習慣もありません。有名な美術館でも清潔なトイレを見かけるのは珍しいことです。「トイレ掃除で運気アップ!」といった意識は全くありません。