“元祖・ガールクラッシュ”の一言では収まりきらない影響力
ゆりこ:簡単にいうと「元祖・ガールクラッシュ」。今日まで続くK-POPガールズグループの代表的なスタイルの1つを作った存在だと言えます。もちろんその前にもカッコいい系のガールズユニットや女性アーティストはいたのですが、グローバル、かつ現在のK-POPシーンに直接リンクする点においては2NE1が原点だと思っています。あと2NE1以前はざっくり分けると「清純コンセプト」、もしくは「セクシーコンセプト」が主流で、カッコいい要素は後者にまとめられる傾向が強かったんです。
※ガールクラッシュ:女性がほれる、憧れる、衝撃を与えるほどカッコいい女性の意
矢野:なるほど。いずれにしてもそれまでのコンセプトには女性を恋愛対象とする男性たちからの視線、ウケを意識している部分があったということですね。それ自体が悪いことだとは思わないですけど。
ゆりこ:はい。そんな中で2NE1は性的な魅力に頼らない、誰にもこびない、普遍的なカッコ良さを表現することで全く新しい道を切り開いたんです。ここで、ぜひデビュー曲『FIRE』のMVをご覧いただきたいのですが。
矢野:独特な声とヒップホップ調のスタイル、ファッションやアイメイク、MVの雰囲気のどれもがカッコいい! もちろんキュートさも感じるのですが、“強さ”がより前面にあるなと。そういえば「ガールクラッシュ」という言葉が使われたのは2NE1が初めてのグループなのでしょうか?
ゆりこ:それが、意外にもNOでして。私の記憶が正しければ2NE1の活動時期にそういったワードが広まっていたわけではありませんでした。デビュー当時は「BIGBANGの妹」「ガールズ版BIGBANG」といううたい文句でしたが、2NE1が瞬く間に唯一無二の存在に成長した結果、コンセプト名は“2NE1”としか言いようがなかった。K-POPのガールズグループを語る中で「ガールクラッシュ」という言葉がしきりに使われ出したのはもう少し後のことです。
矢野:なるほど。2NE1に影響を受けたり、要素を受け継いだりしたグループが続々と出てきたから、それらを総じて語るために「ガールクラッシュ」と言い始めた可能性がありますね。
ゆりこ:一理あるかも。一時期「ガールクラッシュ」がブームになり過ぎて、すでにトレンドとしては去ったと言われていますし、確かにそうなのですが、すでにガールズK-POPを構成する“要素”の1つとして定着したようにも感じています。
矢野:具体的に2NE1の影響力を色濃く感じるグループはどのあたりですか?
BLACKPINKにMAMAMOO、XGにまで受け継がれる「2NE1イズム」
ゆりこ:YGの後輩、BLACKPINKについては誰も否定しないと思います。正統な後継者。その後輩であるBABYMONSTERのステージを今年のSUMMER SONICで見ましたが、絶妙な塩梅で「DNA」を受け継いでいるなと思いました。また、別事務所のアーティストにまで広げると、MAMAMOO、ITZY、(G)I-DLE……個人的にはaespaにも2NE1の影響を感じるときがあります。そして日本人グループのXGにも。その上で、どのグループも独自の魅力とカラーがあって面白いなと思っています。模倣ではなくてちゃんと独自の進化を遂げていますもん。
矢野: BLACKPINKの歌い方、曲やファッションの方向性は2NE1の影響を色濃く感じます。2NE1が存在しなかったら生まれていなかったグループ、全く別の形になっていたケースもあるかもしれません。あと意外だったのはNewJeansのへリンさんが憧れのグループとして2NE1を挙げていたことです。10代の若いアーティストにもしっかり届いているんですね。
ゆりこ:2006年生まれのへリンさん、2NE1が活動していた時期はまだ幼稚園児か……(遠い目)。「2NE1ネイティブ世代」がすでにデビューしていることにビックリしちゃったんですが、それはさておき。2NE1はコンセプト面だけではなく音楽面でもパラダイムシフトを起こしたグループだと思っています。そう、今日はこれが一番言いたかった!
矢野:ここに来てやっと本題ですね(笑)。例えばどんな部分ですか?