AIに負けない子の育て方 第15回

親子ゲンカはもうおしまい。中学受験で子どもを追い込まず、信頼関係を高める「親の関わり方」2つ

子どものためを思って中学受験を始めたのに、親子ゲンカが増えて家庭の雰囲気が悪くなったと感じている人もいるのでは? 今回は中曽根陽子さんの新刊『親子で勝ち取る最高の合格』の一部を抜粋・再構成し、子どもを追い込まない関わり方をご紹介します。

「ポジティブアプローチ」で関わる

心理学では「できているところに注目し、そこを伸ばしたほうが人は伸びる」ということがわかっています。この関わり方をポジティブアプローチと呼びます。

反対に「できないところや問題にフォーカスし、その原因を探って解決しようとすること」をギャップアプローチといいます。ギャップアプローチは、問題解決の手法として一般的に使われますが、悪いところはどこかを見ていくので、ダメ出しになりがちです。 一方ポジティブアプローチは、実現したい未来を考えて、その実現のために具体的にどうするかを考えていくので、革新が生まれやすいといわれています。

私たち大人は、「できないところをできるようにすることが勉強だ」と教わってきているので、子どもの勉強を見るとき、できていないところを指摘し、できるようにしようとします。でも実は先ほどお伝えしたとおり、「できないところよりできるところに注目したほうが、能力は伸びる」のです。

だから、お子さんの能力を伸ばしたいと思ったら、ポジティブアプローチを心がけましょう。できているところに注目し、そこを伝えて励ますのです。できたところを認めてもらった子どもは、まず安心します。そのうえで、さらによくなるためにはどうしたらいいかを考えれば、いろいろな方法を考えつくでしょう。 こういう話をすると、「ほめたらもうこれでい いと思って、やらなくなるのでは?」と言う方がいますが、そうではありません。

できると思えば行動が変わり、結果が変わるから、自尊感情が高まり、さらに理想を実現しようという行動ができる。いい循環が起きるから、いい結果を引き寄せられるのです。

これは受験全体に共通する考え方です。誰にでも苦手科目、得意科目がありますね。親はつい苦手科目を頑張らせたくなりますが、そこに意識を向けすぎると、勉強が苦痛になってしまいかねません。

まずは、得意科目で自信をつけてあげたほうがいいでしょう。お子さんにしてみたら、得意なこと、できることをするので、楽しいし結果も出やすいはず。

得意科目に余裕ができれば、他の科目に時間を割くことができますよね。その中で、不得意科目の攻略法も、具体的に考えてみたらいいと思います。

「子どもの成績が伸び悩む」などネガティブなことが起きたときこそ、親のやるべきことは、ダメ出しではなく、ポジティブアプローチです。

しなやかマインドをセットする

ポジティブアプローチの他に、親ができることが「マインドセットを整える」ことです。困ったことが起きたとき「あーもうだめだ!」と思うか、「なんとかなる」と思うか。      

この違いは、その人のマインドセットによって生まれます。マインドセットとは、簡単にいうと「無意識の思考のクセ・思い込み」。

近年、知識  ·  スキルよりも、マインドセットがポジティブであるか否かが、仕事の成果を出すうえで重要だともいわれています。

マインドセットは「成長型(グロースマインドセット)」と「固定型(フィックストマインドセット)」の2種類に大別されます。ここでは、成長型を「しなやかマインドセット」、固定型を「こちこちマインドセット」と呼ぶことにしましょう。

「しなやかマインドセット」は「自分の能力は努力次第で成長させることができる」という考え方であり、「こちこちマインドセット」は「能力は元々決められていて変わらない」という考え方です。

どちらのマインドセットを持つかで、失敗に対する捉え方も変わります。「こちこちマインドセット」の人にとって、失敗は能力が足りない証明なので、失敗する可能性のある挑戦は避ける傾向があります。一方、「しなやかマインドセット」の人にとっては、失敗は成長へのプロセスだと思えるので、挑戦することが楽しいし、少々の失敗でも落ち込みにくく立ち直りも早い傾向があります。
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「しなやかマインド」を育てる3つの方法
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