有吉弘行やバナナマン、くりぃむしちゅーなどが大活躍
内村さんの作り出す笑いが魅力的だったのはもちろんですが、出演していた芸人たちの実力も相当なものでした。安定感のあるさまぁ~ず、スベリ芸を極めたふかわりょうさんの他に、強烈なインパクトを残したのが有吉さんです。有吉さんは、放送当時はどん底の生活で、テレビで姿を見かけるのは『内村プロデュース』くらい。とくに活躍した企画が「芸人家庭訪問すごろく」シリーズで、とにかく暴れまわる傍若無人なキャラクターで人気を獲得しました。ミュージカル『キャッツ』に合わせたようなメイクで「猫男爵」を名乗り、家庭訪問する芸人の家で勝手にシャワーを浴び裸で暴れるキャラクターを開拓。とにかく真剣な眼差しと恐怖すら感じるような暴れぶりで、多くの笑いを生み出しました。
また、くりぃむしちゅー・有田哲平さんも大暴れで、時には自宅でむちゃくちゃにされる被害者に。突発的な笑いへの対応力が高く、気の利いたツッコミも随所で発揮しています。バナナマンもいまよりは知名度が低く、日村勇紀さんはものまね芸を数多く披露。設楽統さんは下ネタが得意で、大喜利でも高いスキルを発揮しました。
その他にも、ずん・飯尾和樹さんやTIM、ダンディ坂野さんなども活躍。東西のさまざまな芸人が出演し番組を盛り上げ続けました。そして、番組からはユニゾングループ「NO PLAN」も誕生し、アルバムの発売や音楽番組への出演なども実現。お笑いを交えた公演を行った「劇団プロデョーヌ」など、番組外でも活躍の場を広げていきました。
番組内では、そんな芸人たちがさまざまな企画に挑戦。なかでも筆者が好きだった企画は、前述した「芸人家庭訪問すごろく」と、当時の若手が活躍した「若手芸人下剋上」です。芸人たちの素の表情を見ることができ、ギラギラとした若手芸人たちの身を削った笑いを体感できました。とにかく新しい笑いを多く誕生させた番組で、影響を受けている芸人やテレビスタッフは数多くいると思います。
『内村プロデュース』のノリは『有吉の壁』に引き継がれていく
多くの芸人やテレビマンに影響を与えた『内村プロデュース』ですが、その独特なノリは有吉さんが司会を務める『有吉の壁』(日本テレビ系)に引き継がれていきます。司会が芸人たちのボケを審査するスタイルが似ているといわれる両番組ですが、さまざまな人気者たちを生み出している点でも「ノリ」を継承しているといっていいでしょう。『有吉の壁』は、若い視聴者に支持されている番組ですが、きっと『内村プロデュース』を見てもハマること間違いなし。若い視聴者にこそ、ぜひ見てもらいたい番組です。
現在は、『祝!内村光良還暦祭り 内村プロデュース復活SP!!』の放送を控え、TVerやTELASAで過去に放送された『内村プロデュース』の一部を見られます。コンプライアンスの遵守が求められる現在のバラエティ番組にはない、荒々しい芸人たちの姿を楽しめるでしょう。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。