ヒナタカの雑食系映画論 第115回

2024年夏に見てよかった洋画をランキングにしてみた。エンタメ性抜群の作品から厳選したベスト5

2024年夏に公開された、またはこれから公開される洋画(海外実写映画)から、心から見てよかったと思えたベスト5を発表しましょう!(※サムネイル画像出典:『フォールガイ』より(C)2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.)

1位:『フォールガイ』(8月16日より公開中)


1980年代に放送されたテレビドラマ『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』のリメイク。事故により一時は現場から離れたスタントマンが復帰するも、危険な陰謀に巻き込まれてしまうというアクション映画です。実は、ハリウッド映画の監督を務める元恋人とのすれ違いも同時並行で描かれる、ラブストーリーの側面も強い内容となっています。
フォールガイ
(C)2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
アクションおよび物語は荒唐無稽なようで、デヴィッド・リーチ監督自身が元スタントマンだったからこそのリアリティーも備えていますし、何より監督がスタントマンの心情を理解した上で描かれるドラマにグッときます。少し憂いのある役をいつも以上に魅力的に演じたライアン・ゴズリングは、史上最も好きになれるほどの存在感。少しナイーブさを見せている元恋人のエミリー・ブラントとの、もどかしくもあり、だからこそ応援したくなる関係もたまりません。
フォールガイ
(C)2024 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
映画制作およびスタントマンの世界を知ることができるのも大きな意義で、序盤の「長回し」から撮影現場の規模や空気感がはっきりと伝わるでしょう。劇中で言及される8.5回の「キャノンロール(クラッシュした車の回転)」が実際にギネス世界記録を更新していたり、ライアン・ゴズリングの役には8人のスタントマンがいたりするエピソードも、フィクションの映画とリアルが混じり合ったような感慨深さがありました。
 

何より、本作には「映画」への愛情が詰まっており、その愛を映画ファンにもそうでない人にも届けるために全身全霊を尽くしている作り手の奮闘が、作品からたっぷりと伝わります。振り返れば全てが愛おしくなる「タイトル回収」と「エンドロール」が待っており、多幸感でいっぱいになれるでしょう。デートに最適な映画として、これ以上の作品はないかもしれません。前述したスタントウーマンを夢見る少女を主人公とした『ポライト・ソサエティ』を併せて見るのもおすすめです。

ほかにもおすすめのホラー映画とサメ映画、そして落ち着いたドラマの映画も

夏のホラー映画まとめサメ映画まとめで紹介したため今回は選外にしましたが、8月9日より公開中の『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』『#スージー・サーチ』、8月16日より公開中の『ニューノーマル』『デッドストリーム』『エア・ロック 海底緊急避難所』もエンターテインメント性がとても高い内容で、いずれも恐怖を超えて「笑える」場面もあることも魅力的なのでおすすめです。

さらに、ここで紹介した“エンタメ盛り盛り”な作風とはいい意味で正反対、とても落ち着いた作風の、『時々、私は考える』(7月26日より公開中もおすすめします。
 

こちらで主演を務めたのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などで知られるデイジー・リドリーで、“影”のある女性に見事な説得力を持たせています。閑散とした港町で淡々と仕事をする、人付き合いが苦手な女性と、新しい同僚との交流が始まる物語の、危うい「空想」を踏まえたコミュニケーションから気付くことは多いはず。お盆明けで仕事が始またばかりという人も、ぜひ見る候補に入れてみてほしいです。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。
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