地元民の“積み残し”問題やホテル代高騰以外にも……関西3空港の「発着枠」拡大で何が起こる?

大阪・関西万博の開催を控えた需要増に対応すべく、関西3空港の「発着枠」が増えることになる。それに伴い、関西エリアはどう変わるのか。すでにあるオーバーツーリズム以外にも、観光客の増加による「新たな問題」の発生も懸念されている。

オーバーツーリズム、さらに別の問題も発生中

上空から見た関西空港(筆者撮影)
上空から見た関西空港(筆者撮影)
飛行機の便数が増えると、旅行客の数も増える。これに伴うのが「オーバーツーリズム」で、日本国内ではすでに大きな問題となっている。

例えば、京都。路線バスに大きなスーツケースを持参して利用しようとする外国人旅行客が後を絶たたない。そのため、普段利用の京都市民や通学で利用する学生らがバスに乗れずに積み残しにあう事態に。バス会社側も、京都駅と金閣寺、清水寺など主要観光地を結ぶ直通バスを先日から運行開始したものの、解決には至っていない。外国人旅行客によるマナー悪化もSNSなどで日々散見される。

また、インバウンドの急増で、日本国内のホテル相場も高騰している。国内旅行すらしづらくなっているだけでなく、出張で動くビジネスパーソンへの影響は深刻だ。遠方のやや不便なホテルに泊まらざるを得ない、カプセルホテルやネットカフェ、夜行バスなどで出張費削減などの話も耳にする。

さらに、日本全国で深刻化する人材不足は空港も例外ではない。日本の各空港で一時期、保安検査場の係員が足りずにピーク時間帯で長蛇の列となるのが問題視され、グランドハンドリング業務(地上支援作業)を行うスタッフを募集してもなかなか集まらない事態は全国共通の問題となっている。いずれも、コロナ禍の航空需要激減で離職した人たちが今、戻らないケースが多い。

いずれにせよ、大阪・関西万博を境に今よりさらに混雑必至。これらの問題なども早急に対策する必要があるのではないだろうか。

<参考>
関西・神戸空港 淡路島上空新ルートに地元合意 来年3月から」(NHK)
 
この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も行う。
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