ヒナタカの雑食系映画論 第110回

「R15+指定のヒーロー映画」にハズレなし。『デッドプール&ウルヴァリン』からその面白さを振り返る

『デッドプール&ウルヴァリン』が絶賛上映中の今、改めて「R15+指定のヒーロー映画にハズレなし!」と思える7作品を紹介しましょう。それぞれバラエティ豊かな魅力があることも分かるはずです。(サムネイル画像出典:(C)2024 20th Century Studios / (C) and TM 2024 MARVEL.)

6:『ヘルボーイ』(2019年)

過去にも『ヘルボーイ』の映画は2004年と2008年に公開されましたが、本作はそちらとは連続していないリブート作。その内容はもはや「グロの万国博覧会」といえる勢いで「怪物たちにはいろんなものがぶっ刺さる」「人間たちもちぎっては投げられて引き裂かれる」様は本当に悪趣味です(褒めています)。

それでも、主人公が「しゃ〜ね〜な〜、俺がやってやんよ」という感じの面倒見がいい人であり、真っ当な正義感が貫かれたヒーロー映画になっている点も見どころ。正直に言って物語はやや散漫かつ設定を盛り込みすぎていて完成度は高くないのですが、中盤のダイナミックなカメラワークとスケール感で展開するワンカットのアクションの面白さと、終盤での街で異形の怪物が次々に人を惨殺していく画のすさまじさは見る価値が大いにありますよ。

7:『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)


2016年にも『スーサイド・スクワッド』が公開されていましたが、そちらが全年齢指定だったのに対し、今回は「空いた口が塞がらなくなる」ほどの衝撃的なオープニングから、グロさが惜しげもなく投入されていました。出色なのが「サメ人間」の愛らしさで、人間を引きちぎったり丸呑みにするシーンも笑ってしまうのでやっぱり悪趣味です(もちろん褒めています)。

ジェームズ・ガン監督は過去にも2010年に『スーパー!』という冴えない中年男性が「通り魔」と化してしまう悲しくもおかしい(でも大きな感動がある)、大人向けのヒーロー映画を手掛けていましたが、今回はここまでの予算をかけ、スケール感のある、ヴィラン(悪役)たちヒーローになる(グロ満載で人の命が超安い)作品を手掛けたことにも感慨深さがありますし、そちらにも通ずる「はぐれ者たちの物語」には大きな感動が待ち受けているのです。

『異世界スーサイド・スクワッド』もぜひチェックを!

なお、2024年現在はテレビアニメ『異世界スーサイド・スクワッド』が放送中。こちらは年齢制限は設けられていないもののやはり刺激的な内容で、「異世界もの」のジャンルでヴィランたちが暴れる様がなんともすがすがしく、人気キャラクターのハーレイ・クインが過去最高レベルでかわいくて魅力的なので、ぜひ『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』と併せて見ることをおすすめします。
 


その他、スーパーパワーを持つヒーロー映画とは少し違いますが、『シン・シティ』(2005年)、『キングスマン』(2014年)、『ジョン・ウィック』(2014年)も、刺激の強いR15+指定のアクション映画としておすすめです。

それぞれがやはり悪趣味や不謹慎が褒め言葉になる内容である一方、『LOGAN/ローガン』のように残酷描写が真面目に物語上で重要になっている作品があるのも事実。いわゆる「いい子」なヒーロー映画ももちろんいいですが、そうではないバラエティ豊かなR15+指定の作品も、ぜひ知ってみてください。

この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。

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