恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第105回

国鉄特急を回顧する写真展を鉄道博物館で開催! 今はなき「絵入りトレインマーク」も展示

鉄道写真家の南正時氏が鉄道博物館に寄贈した膨大な作品を公開する写真展の第4弾として、「鉄道写真家・南 正時 写真展 Lの時代 国鉄特急、大集合!」が2024年7月6日から開催中だ。国鉄特急の魅力を余すところなく伝える作品展の見どころを紹介しよう。

「絵入りトレインマーク」登場

トレインマーク
「とき」の絵入りトレインマークや上野駅の標示板も展示
鉄道に詳しくない人が見ると、どの列車も同じように見えてしまうので、列車の愛称名をアピールしたのが、1978年に登場した「絵入りトレインマーク」だ。

当時の子どもに大人気で、さまざまなグッズも販売された。現在の特急では、ほとんど姿を消してしまっただけに、思い出の記録として見ておきたい。

最後の国鉄形特急電車として先日話題となった381系「やくも」(岡山~出雲市)も、ディーゼル特急時代と電車特急時代の2枚が展示されているのでお見逃しなく。

また、撮ろうとして撮れるものではない列車のすれ違いシーンも貴重な写真だ。それも、東北本線の看板特急だった「やまびこ」と「はつかり」の出逢いは、ハプニングとはいえ、後世に残る名作であろう。

「鉄道少年の部屋」、トークショーなども企画

少年部屋
1980年頃の「鉄道少年の部屋」を再現したコーナー
写真以外で興味深いのは、1980年前後の「鉄道少年」の部屋。特急列車の写真やグッズはもちろんのこと、元プロ野球・王貞治選手のポスターやラジカセ、修学旅行でお土産として購入したペナントなど、ある年齢以上の層には「ささる」のではないだろうか?
 
作品展の会期は2024年9月23日まで。それに合わせて、鉄道博物館にて保存されている特急電車ではヘッドマークを付け替えるなどのイベント、南氏のトークショーも複数回計画している。こどもの夏休みに合わせて訪問してはいかがだろうか?
 
取材協力=鉄道博物館
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この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
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