「みどりの窓口」を削減しても混乱するだけ
また別の話。指定席券売機の操作が終わったとき、隣の券売機を操作していた女性が、「すみません……。『あずさ』の自由席に乗りたいのですが、どのボタンを押せばいいのでしょうか?」と聞いてきた。「自由席」のボタンの中に「あずさ」の選択肢がないのだという。「今は、あずさの自由席はないですよ」「えっ、ないのですか?」……。未指定券などといっても混乱するだけだろうから、分かりやすくそう教えてあげた。きっと「あずさ」には何年も前に乗っただけで、久しぶりなのだろう。
券売機は、ふだん列車に乗り慣れている人には問題ないけれど、たまにしか乗らず、鉄道の知識に乏しい人には決して優しくない。JR側にとっては面倒ではあるけれど、「自由席」という選択肢の中にも「○○○号、○○○号、……に自由席はありません。全車指定席です」という表示が必要なのかもしれない。きめ細かい対応が券売機のキャパシティを超えていて無理なのであれば、まだまだ有人窓口の方が安心な人は多そうだ。
航空機や高速バスと違って、JRの列車や運賃体系は複雑怪奇だ。いきなり、「みどりの窓口」を削減しても混乱するだけ。JRの運賃および料金体系の複雑さは、世の中の鉄道に詳しくない人には、敷居が高すぎるだろう。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。